資金調達は税理士に相談すべき?メリット・費用・選び方を解説 

こんにちは!税理士の井上です。

事業を大きくしたい、新しいことを始めたい、あるいは会社をもっと安定させたい。どんなときでも、資金調達は経営者にとって大事な仕事の一つです。

しかし、「誰に相談すれば、いい条件でお金を借りられるのだろう?」と悩む方も多いでしょう。銀行、コンサルタント、商工会議所など、相談できるところはたくさんあります。その中でも、税理士は資金調達を成功させるための有力な選択肢の一つです。

税理士は、会社のお金の流れを詳しく理解しています。銀行との信頼関係を作る手助けもできますし、お金を借りた後にかかるコストまで見越した、総合的な戦略を立てられる存在なのです。

この記事では、なぜ資金調達に税理士が必要なのか、具体的なメリットやかかる費用、そして「頼れる税理士」の選び方まで、詳しく解説します。

目次

なぜ資金調達の相談を税理士にすると良いのか?

資金調達で成功するには、ただお金を集めるだけでなく、会社の成長につながり、将来苦しくならない「良い資金」を「必要なタイミング」で手に入れることが大切です。このプロセスで、税理士が中心的な役割を果たす理由を3つに分けて解説します。

1. 財務・税務・経営をまとめて見てくれる専門家

税理士の強みは、会社の「お金の状況(財務)」「税金(税務)」「会社の進め方(経営)」という3つの大切な要素を一つにまとめて考え、最適な判断ができる点にあります。

税理士は、会計を深く理解している専門家です。毎日の帳簿付けや決算の仕事を通じて、会社のお金の流れ、利益の仕組み、資金繰りの傾向を正確に把握しています。そのため、机上の空論ではない、現実に基づいた資金調達の計画を立てることができるのです。

例えば、資金繰りが厳しくなっている場合、一時的にお金を借りるだけでは根本的な解決になりません。税理士は、お金のデータを細かく分析し、「なぜお金が足りなくなっているのか」という原因を見つけます。その上で、必要な金額と無理のない返済計画を立て、長く続けられる経営を良くするアイデアを提案します。これは、お金の専門家(財務の専門家)だからこそできるアプローチです。

2. 銀行など金融機関からの「信頼度」が向上する

銀行が融資の審査で重視するのは、「提出された情報が信用できるか」という点です。社長自身が作った事業計画書や決算書も大切ですが、そこに第三者である専門家の客観的な視点と保証が加わると、信頼性は高まります。

税理士が関わって作成された決算書や事業計画書は、金融機関にとって「専門家のお墨付き」をもらった書類として扱われます。これにより、融資の審査をスムーズに進めることができます。

3. お金を借りた後の「税金」まで考えてくれる

資金調達の際、多くの社長が見落としがちなのが「税金のリスク」です。実は、手に入れた資金の種類によっては、後から大きな税金を払うことになる場合があります。

その代表的な例が、補助金や助成金です。これらは、会社の会計上は「利益(収益)」として扱われるため、法人税や所得税の対象となります。もし、この税金分を考えずに資金をすべて使ってしまうと、いざ納税するときにお金が足りないという問題が起こりかねません。

税理士は、資金調達の計画段階からこのような税金のリスクを予測し、納税するためのお金の準備まで含めた、全体をカバーする資金計画を立てます。「圧縮記帳」といった専門的な税務処理も使いこなし、最初の一年の税金を合法的に遅らせる提案も可能です。これは、税金の専門家である税理士だからこそできる、大きなメリットと言えるでしょう。

税理士が提供する資金調達の具体的なサポート内容

税理士は、単に「こうした方がいい」とアドバイスするだけではありません。資金調達のすべてのプロセスで、社長と二人三脚でゴールを目指す、頼れる実行役です。具体的にどんなサポートを受けられるのかを見ていきましょう。

「事業計画書」の作り方をサポート

融資の審査で最も大切な書類が「事業計画書」です。銀行などの金融機関は、この書類を見て「この会社は将来性があるか」と「お金をちゃんと返せるか」を判断します。

税理士は、社長の「事業への熱い想いや目標」を聞き取り、それを客観的で納得できる「具体的な数字の計画」にするお手伝いをします。過去のデータに基づいた利益の予測や、実現可能な資金繰りの計画を作成することで、現実的でしっかりした事業計画を作り上げます。銀行に「利益が出る仕組み」と「返済できる根拠」をハッキリと示すことが、審査を通過する鍵となります。

「決算書・試算表」の作成

事業計画書と同じくらい重要なのが、会社の今の状態を示す決算書や試算表です。もしこれらの書類にミスや矛盾があると、銀行からの印象は悪くなってしまいます。

税理士は、会計のルールに従った正確な決算書を作成します。また、融資の審査では直近の業績を示す「試算表」の提出を求められます。普段から顧問税理士として関わっていれば、常に最新の会社の数字を把握しているため、必要な書類をスピーディーに準備することが可能です。

銀行の紹介、面談の準備、そして同行サポート

どの銀行にお金を借りに行くかという選択も、資金調達の戦略の一つです。税理士は、それぞれの銀行の特徴(新しく始めた会社に積極的、特定の業界に詳しいなど)をよく知っており、あなたの会社に合った金融機関を紹介できます。

さらに、銀行の融資担当者との面談は、社長の人柄や事業への熱意を伝えるチャンスです。税理士は、聞かれそうな質問への答え方やなどを事前に相談してしっかりサポートします。

資金調達後も続く、安心の経営・財務サポート

税理士のサポートは、資金調達が成功したら終わりではありません。むしろ、そこからが会社の本当の成長のスタートです。借りたお金を計画通りに使い、事業を大きくしていくためには、継続的にチェックし、必要に応じてやり方を変えることが必要です。

税理士は、資金調達した後も、定期的に資金繰り表や試算表をチェックし、計画と実際の結果にズレがないかを確認します。もし計画通りに進んでいない場合は、早い段階で問題点を見つけ、一緒に改善策を考えます。

さらに資金調達が必要になったときも、普段から会社の数字を把握しているため、スムーズに対応できます。このように、税理士は資金調達を一度きりのイベントではなく、会社の成長戦略の一部と捉え、長期的なパートナーとして社長と一緒に走り続けます。

補助金・助成金の活用と税理士の専門性

お金を集める方法には、銀行からの融資のように「返さなければならないもの」だけでなく、「返さなくても良いもの」、つまり補助金や助成金もあります。これらは魅力的ですが、申請の手続きが複雑なことや、お金をもらった後の税金処理に専門的な知識が必要なことから、税理士のサポートがとても役に立ちます。

代表的な補助金制度の概要

国や地方自治体は、中小企業の様々な挑戦を応援するため、多くの補助金制度を用意しています。ここでは、特に代表的な4つの制度を紹介します。

  • 中小企業新事業進出補助金: 新しい市場への進出プロセス等新たな挑戦をする企業を応援します。
  • ものづくり補助金: 画期的な製品やサービスを生み出すこと、あるいは生産のやり方を改善するために必要な設備投資などを応援します。製造業以外も広く対象です。
  • IT導入補助金: 会社の仕事の効率を上げたり、デジタル化を進めるためにITツール(ソフトやサービスなど)を導入する費用の一部を応援します。
  • 小規模事業者持続化補助金: 小さな会社やお店が、顧客を増やすための工夫や、生産性を高めるためのチラシ作成や店舗改装などを支援する補助金です。

これらの補助金は、申し込むときに必ず「事業計画」を作る必要があります。このため、今まで説明してきた税理士の「事業計画の作り方支援」のノウハウが役立つことになります。

補助金をもらった後の「税金の先延ばし」(圧縮記帳)

補助金をもらったときに、注意しなければならないのが税金です。前述の通り、補助金は基本的に税金がかかる対象となります。特に、機械や建物といった大きな財産(固定資産)を買うために補助金を使った場合、もらった年に大きな利益が出てしまい、予想外に多額の法人税が発生することがあります。

この問題を解決するための専門的な税金処理が「圧縮記帳」です。

これは、補助金を使って買った固定資産の帳簿上の価格を、補助金と同じ額だけ引き下げる(圧縮する)処理をすることです。

この処理を行うことで、補助金として入った収入と、「圧縮損」という費用が相殺され、補助金を受け取った年の税金がかかる利益を減らすことができます。これにより、最初の年の税金負担を軽くし、補助金が持つ効果を最大限に活かすことが可能になります。

ただし、これは税金をタダにする制度ではなく、あくまで税金を将来に先延ばしする制度です。資産の帳簿上の価格が低くなるため、翌年以降に計上できる減価償却費(費用)が少なくなり、その分だけ将来の利益が増える(=税金が増える)ことになります。

この圧縮記帳は、適用できるかどうかの判断や複雑な会計処理、そして税務申告書への専門的な書類の添付が必ず必要です。まさに税理士の専門的な力が発揮される分野と言えます。

【設例】圧縮記帳の効果シミュレーション

項目圧縮記帳なしの場合圧縮記帳ありの場合
補助金収入+1,000万円+1,000万円
圧縮損0円▲1,000万円
課税対象となる補助金額(初年度)1,000万円0円
法人税等負担額(税率30%と仮定)300万円0円
初年度の実質的な補助金効果700万円1,000万円
機械の帳簿価額(取得価額1,500万円)1,500万円500万円
将来の税負担減価償却費が多く、税負担は相対的に軽い減価償却費が少なく、税負担は相対的に重い

上記のように、圧縮記帳を適用することで、初年度のキャッシュアウトを300万円も抑えることができます。これは、資金繰りが厳しい企業にとって極めて大きなメリットと言えるでしょう。

資金調達に強い税理士の選び方

税理士なら誰でも資金調達に詳しいわけではありません。なぜなら、税理士の試験に「資金調達」という科目はないため、知識や経験には差があるからです。ここでは、頼りになるパートナーを見つけるためのポイントを解説します。

見極める3つのポイント

1. 経済産業省の「認定支援機関」であるか

前述の通り、この「認定支援機関」であるかどうかは、重要な判断基準です。

「中小企業経営力強化資金」のような有利な融資制度を使ったり、様々な補助金を申請したりするときに、認定支援機関のサポートが必要なケースが増えています。この認定を受けていることは、国が認めた専門性と信頼性の証です。

中小企業庁の検索システムで誰でも確認できるので、チェックしておきましょう。

2. 銀行など金融機関との連携ネットワークはあるか

銀行などの金融機関と良い関係を築いていることは、スムーズな資金調達につながります。

特定の金融機関と強いパイプを持っている税理士であれば、担当者を紹介してもらえたり、事前の情報共有によって審査が有利に進んだりすることが期待できます。初めて相談するときに、「どのような金融機関と付き合いがあるか」を尋ねてみると良いでしょう。

3. 社長の目標に共感し、長く一緒に歩んでくれるか

最終的には、担当する税理士との「相性」が重要です。

資金調達は、会社のデリケートな情報を公開し、事業の将来を一緒に考えていくプロセスです。そのため、説明が分かりやすいか、話しやすいか、そして何よりも、社長の目標に共感し、事業の成功を心から願ってくれるパートナーであるかを見極めましょう。

専門知識だけでなく、「この人なら信頼できる」と感じられるかどうかが、長期的な成功の鍵となります。

資金調達の相談先比較

資金調達の相談先として、税理士以外にも様々な専門家が候補に挙がります。それぞれの専門家との役割の違いをみていきましょう。

税理士 or 中小企業診断士

中小企業診断士は、会社の「経営の課題」を見つけ出し、成長するための戦略をアドバイスする「経営コンサルティングの専門家」です。販売戦略や生産管理など、幅広い分野に詳しく、質の高い事業計画書を作る力に長けています。
しかし、中小企業診断士は税金に関する仕事(税務相談や税務申告書の作成)を専門として行うことはできません。

役割分担のイメージ:

中小企業診断士が、事業戦略という「設計図」を描く建築家だとすれば、税理士は、その設計図がお金の面で実現可能か、税金面で有利かをチェックし、資金という「建材」を集めてくる「構造設計士」のような存在です。
この二人が協力することで、より強力な資金調達が可能になります。

税理士 or 行政書士

行政書士は、役所に出す書類を作るプロフェッショナルです。建設業の許可や飲食店の営業許可など、事業を行うために必要な1万種類を超えると言われる許認可の申請を代わりに行います。
一部の補助金の申請などで行政書士が活躍することもありますが、融資の土台となる決算書や事業計画書の数字の部分を作る仕事や、税金のアドバイスは専門外です。

役割分担のイメージ:

行政書士は、事業を「法律に沿って行うための許可」を取る専門家です。一方、税理士は、事業を「お金の面で成長させるための資金と税金」を管理する専門家です。

税理士 or 社会保険労務士

社会保険労務士(社労士)は、会社にとって大切な「人」に関する専門家です。労働保険や社会保険の手続き、会社のルールブックである就業規則の作成、給料の計算、そして厚生労働省が管轄する雇用関係の助成金の申請など、人事や労務管理全般をサポートします。
資金調達の話では、雇用関係の助成金の申請で中心的な役割を果たしますが、会社の財務戦略や銀行からの融資、法人税といった分野は専門外です。

役割分担のイメージ:

社会保険労務士が「人材(人に関わるお金)」の管理とルールを守ることを担当するのに対し、税理士は「会社の財産(お金)」の管理とルールを守ることを担当します。


このように、それぞれの専門家には得意な分野があります。しかし、会社の根幹である「お金」の流れを把握し、融資から補助金、そしてその後の税金までを一貫してサポートできるのは、税理士だけなのです。

まとめ:資金調達は、信頼できる税理士と共に

資金調達は、単に今の事業を続けるためのお金集めではありません。それは、会社の未来を切り開くための投資であり、経営者としての大きな決断です。この大切な場面で、誰をパートナーに選ぶかが、その後の会社の成長を左右します。

税理士は、あなたの会社の数字を深く理解し、銀行からの信用を繋ぎ、税金のリスクから会社を守る、資金調達の強力な味方です。

特に、国から認められた「認定支援機関」である税理士に依頼すれば、融資の金利が安くなったり、保証料が割引になったりと、直接的なメリットを受けられる可能性も高まります。

「自分の会社には、どの調達方法がベストなんだろう?」 「銀行が納得する事業計画書を、どう作ればいいか分からない」 「補助金を使いたいけれど、手続きが複雑そうで手が出せない」

もし、このような悩みや不安を抱えているなら、一人で悩まず、ぜひ一度、私たちほまれ税理士法人にご相談ください。

私たちは、創業融資から補助金の申請、そして資金調達後の税務管理まで、あなたの会社の成長をトータルで支えるパートナーです。

あなたの会社の「今」と「未来」にとって、最も良い資金調達の形を一緒に考え、実現していきましょう。初回のご相談は無料ですので、どうぞお気軽にお声がけください。

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この記事を書いた人

税理士/近畿税理士会所属/税理士登録年2005年/登録番号102807/会計システムの開発エンジニアとしてキャリアをスタート。その後、大阪市内の税理士法人での勤務を経て2005年に税理士として登録し、個人事務所を開業。法人化などを経て、現在はほまれ税理士法人の代表を務める。 「後世に誇れる仕事をする」を理念に、これまで2,000社以上の顧問先を支援。企業のライフステージに合わせた総合的なコンサルティングを提供している。

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