合同会社(GK)の代表社員とは?役割・義務から登記・税務まで専門家が徹底解説 

「合同会社(GK)って株式会社と何が違うんだろう・・・?」

「代表取締役と代表社員って違いはあるのかな・・・?」

こんにちは!税理士の井上です。

会社の形の一つである「合同会社(GK)」を設立し、経営していく上で中心となるのが「代表社員」です。

しかし、株式会社の「代表取締役」とは違う点がたくさんあり、その権限や責任、税金のルールを正しく理解している方は、実は少ないかもしれません。

特に、給料(役員報酬)のルールや代表を複数人置くときの注意点、退任や万が一の時の手続きなどを知らないまま進めてしまうと、会社の将来を揺るがす大きなトラブルに繋がる危険性があります。

そこでこの記事では、税金のプロである税理士が、合同会社の代表社員について隅々まで解説します。法律などの情報に基づき、代表社員の基本的な役割から、複数人置くメリット・デメリット、給料の税金ルール、登記の手続き、退任や万が一の時の対応まで、経営者が知っておくべき全てをしっかりカバーします。

ちなみに合同会社(GK)の「GK」とは、合同会社をそのままローマ字にした「Godo Kaisha」の頭文字を取って略されています。

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目次

合同会社の代表社員とは?株式会社の代表取締役との違いを徹底解説

まずは、合同会社の「代表社員」がどのような立場なのかをしっかり理解するために、その基本となる役割や、株式会社の「代表取締役」との根本的な違いから解説していきます。

合同会社における「社員」の正しい意味

合同会社を理解する上で、まず押さえておきたいのが「社員」という言葉の本当の意味です。普段「社員」というと従業員を指しますが、法律上の合同会社では、会社にお金を出した「出資者」のことを指します。

株式会社では、お金を出す人(株主)と、会社を経営する人(取締役)は、基本的に別々の人です。一方で合同会社は、お金を出した出資者(=社員)が、そのまま会社の経営も行うのが大きな特徴です。つまり「お金の出し手」と「会社の経営者」が同じ、というわけです。

この「社員=出資者かつ経営者」という仕組みが、合同会社のあらゆるルールの基本となります。

代表社員の定義と役割 ― 会社の顔となる最高責任者

合同会社の代表社員とは、会社の「代表」として、様々な契約を結んだり資金調達をしたりする権限を持つ人のことです。

会社の決定を外部に示し、その結果に責任を負う、まさに「会社の顔」となる重要なポジションです。

実は、法律のルール上は、合同会社の社員は全員が会社の代表になることができます。しかし、社員が複数いるのに、それぞれがバラバラに契約などを結んでしまうと、会社の中も外も大きな混乱に陥るかもしれません。

そうした事態を避けるため、会社のルールブックである「定款(ていかん)」で、特定の社員だけを「代表社員」と決めておくのが一般的です。つまり、代表社員を置くことは、単なる肩書き選びではありません。「社員なら誰でも代表になれる」という状態から、あえて特定の人物に代表としての権限をまとめることが、会社をスムーズに動かすための重要な仕組み作りなのです。

業務執行権と代表権の違いとは?

代表社員の役割をスッキリ理解するために、少し似ていますが大切な「業務執行権」と「代表権」の違いを見ていきましょう。

  • 業務執行権【社内向け】の権限です。会社の経営方針を決めたり、日々の業務を進めたりする力のことです。(例:事業計画を立てる、社内ルールを決める)
  • 代表権【社外向け】の権限です。会社の「顔」として、外部の会社や個人と契約を結ぶ力のことです。この権限で行った契約は、そのまま「会社としての正式な契約」になります。

つまり、社内向けの業務を行う「業務執行社員」の中から、さらに社外向けの代表として選ばれた人が「代表社員」になる、という関係性です。

【比較表】代表社員・業務執行社員・代表取締役の違いを一覧で確認

合同会社の役職は、多くの人が知っている株式会社の役職と見比べると、グッと理解しやすくなります。それぞれの違いを、比較表で確認してみましょう。

役職株式会社での相当役職代表権業務執行権登記の要否登記される内容
代表社員代表取締役ありあり必要氏名及び住所
業務執行社員取締役なし(※)あり必要氏名のみ
社員(業務を執行しない)株主なしなし不要
代表取締役ありあり必要氏名及び住所

※定款で代表社員を別途定めている場合。定めていない場合は業務執行社員が各自代表権を持つ。

この表の通り、代表社員と代表取締役はどちらも会社のトップという点は同じです。しかし、「誰の中から選ばれるか」ということや、会社の仕組みそのものが根本的に異なっています。

代表社員が負う4つの法的義務と責任

代表社員は大きな権限を持つ分、会社に対して法律で定められた重い責任も負っています。これは株式会社の取締役と同じで、主に次の4つの義務があります。

  • 善管注意義務(ぜんかんちゅういぎむ): 経営のプロとして、常識的に求められる注意をきちんと払って仕事をする義務。
  • 忠実義務 :法律や社内ルールを守り、会社全体の利益のために誠実に働く義務。
  • 競業避止義務: 会社のライバルとなるようなビジネスを個人的に行う場合、他の社員から許可をもらう義務。
  • 利益相反取引の制限: 自分と会社の利益がぶつかるような取引(例:会社から個人的に物を安く買うなど)をする際に、決められたルールを守る義務。

もしこれらの義務を破って会社に損害を与えてしまうと、代表社員が個人のお金で弁償(損害賠償)しなければならないケースがあります。また、代表社員が仕事で社外の人に損害を与えた場合は、会社も一緒にその責任を負うことになります。

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合同会社の代表社員の決め方と人数 ― 複数設置のメリット・デメリット

代表社員を「誰にするか」「何人にするか」は、会社のこれからを大きく左右する大切なポイントです。ここでは、代表社員の決め方や、複数人おく場合のメリット・デメリットを分かりやすく解説します。

代表社員の決め方:「定款」か「話し合い」かの2パターン!

代表社員の決め方は法律で定められており、主に次の2つのパターンがあります。

  1. 定款で直接、名前を指定する方法:会社のルールブックである「定款」に、「当社の代表社員は〇〇です」と、特定の個人の名前をあらかじめ記載しておく方法です。
  2. メンバーの話し合いで決める方法(互選):定款には「代表社員は、経営メンバーの話し合いで決める」のように定めておき、そのルールに従って業務執行社員の中から選出します。

どちらの方法でも、代表社員は「会社の経営を行うメンバー(業務執行社員)」の中から選ぶ、という原則があります。お金を出しているだけで経営には参加していない社員を、いきなり代表社員に選ぶことはできないので注意が必要です。

代表社員は複数名でも可能!

法律上、代表社員の人数に決まりはありません。1人でも、複数人でも自由に設定できます。このように人数を柔軟に決められる点は、合同会社の大きなメリットの一つです。

代表社員を複数名にするメリット

代表社員を複数人にすると、主に次の3点がメリットとして挙げられます。

  • スピーディーな意思決定:事業や地域ごとに担当を分ければ、それぞれの代表が自分の責任で判断できるため、ビジネスチャンスを逃しにくくなります。
  • ビジネスが止まるリスクの軽減:一人が病気や長期出張などで動けなくなっても、別の代表がカバーできるため、経営のストップを防ぐことができます。
  • 対等な関係性の構築:複数の創業者で立ち上げた場合、全員が代表になることで「みんなが会社の中心だ!」という意識を共有でき、より強いチームワークが生まれます。

代表社員を複数名にするデメリット・注意点

一方で、代表社員を複数人にすることには、見過ごせないデメリットや注意点もあります。

  • 会社の窓口が分かりにくくなる:取引先や銀行から「結局、最終的に決めるのは誰?」と思われてしまい、混乱を招くことがあります。
  • 意見が割れると物事が進まない:大事な場面で代表同士の意見が対立すると、何も決められなくなり、かえって経営のスピードが落ちてしまう恐れがあります。
  • 勝手に重要な契約をされるリスク:これが最も注意すべき点です。代表社員は、それぞれが一人で会社を代表する権限を持っています。そのため、各自が会社の「実印」を登録して持つことができてしまうのです。その結果、他の代表に相談なく、誰か一人が勝手に多額の借金をする、会社の重要な財産を売却するといった契約を結んでしまうリスクが、法律の仕組み上あり得るのです。

特に3番目の「実印をそれぞれが持てる」という点が、「意見が合わない」という段階の話を、「知らないうちに会社が法的な義務を負わされる」という、より深刻な経営リスクに変えてしまいます。

対策として、会社のルールブックである「定款」などで、「〇〇円以上の契約には代表社員全員の同意が必要」といった社内ルールを事前に作っておくことが非常に重要です。

メリットデメリット
・権限分担による意思決定の迅速化・取引先が誰と契約すべきか混乱する恐れ
・専門分野に応じた最適な判断ができる・代表社員間で意見が対立すると経営が滞ってしまう
・一方が不在でも事業を継続できる・各代表が法人実印を持てるため、無断で契約されるリスクがある
・創業者間の対等な関係性を維持しやすい・責任の所在が曖昧になりやすい

法人を代表社員にすることも可能! ― 「職務執行者」の選任と登記

代表社員になれるのは個人だけではありません。株式会社のように「法人(会社)」を代表社員にすることも、法律で認められています。

ただし、法人は会社そのものであり、実際に手足を動かして仕事をするわけではありません。そのため、法人に代わって実際に代表社員としての仕事を行う担当者(個人)を、「職務執行者」として選んで登記する必要があります。

これは、取引先などが「いったい誰に責任があるのか?」と困らないように、実際の担当責任者をはっきりさせるための大切なルールです。

この「職務執行者」は、代表社員である会社の役員や従業員である必要はなく、外部の人を選ぶことも可能です。

代表社員の肩書きは「社長」や「CEO」を名乗れるか?

法律上の正式な役職名はあくまで「代表社員」ですが、名刺やホームページで使う肩書きはもっと自由です。法律的な決まりはないので、「社長」や「CEO(最高経営責任者)」など、会社のイメージに合わせて好きな肩書きを使うことができます。

ただし、一つだけ絶対に避けるべき重要な注意点があります。それは「代表取締役」という肩書きを使わないことです。

「代表取締役」は、株式会社の代表者だけが使える特別な名称だと法律で決まっています。合同会社がこの肩書きを使うと、取引先などに「株式会社なのかな?」と誤解を与え、思わぬトラブルの原因になる可能性があるので注意しましょう。

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【税理士が解説】代表社員の役員報酬と税務上の重要ルール

代表社員が受け取る報酬は、税金のルール上「役員報酬」として扱われます。これは従業員の「給与」とは全くの別物で、非常に厳しいルールが決められています。このルールを知っているか知らないかで、会社が支払う税金の額が大きく変わるため、とても重要です。

役員報酬の決定方法と事業年度開始から3ヶ月以内という期限

代表社員に支払うお金は、税金のルール上「役員報酬」となり、従業員の給与とは区別されます。金額の決め方は、会社のルールブックである「定款」にあらかじめ書くか、全社員の話し合いによって決まります。

そして、税金に関する一番大切なルールが「事業年度が始まってから3ヶ月以内に、その年の役員報酬を決める必要がある」ということです。

さらに、一度決めた金額は、原則としてその事業年度が終わるまで一年間、変更することはできないので注意が必要です。

役員報酬を経費にするキーポイント!「定期同額給与」とは?

では、なぜ年度の途中で役員報酬を変えられないのでしょうか?

それは、会社の経費として認められる役員報酬の支払い方が、税金の法律で厳しく決められているからです。

そのルールの中心にあるのが「定期同額給与(ていきどうがくきゅうよ)」という考え方です。これは文字通り「毎月、同じ金額を、定期的に支払う給与」という意味で、このルールを守らないと、その役員報酬は会社の経費にできません。つまり、会社の税金が増えてしまうのです。

関連記事:役員報酬8万円は得か損か?税理士が2025年最新税制で徹底解説【社会保険料・手取り・5つの落とし穴】 |ほまれ税理士法人

原則、事業年度の途中での増額・減額が認められない理由

もし役員報酬をいつでも自由に変えられると、決算前に利益が出そうになった時に、急いで報酬を上げて「会社の利益をゼロにしてしまおう!」といったことができてしまいます。これは、法人税を不当に逃れるための「利益操作」につながりかねません。

税金のルールは、こうした「会社にとって都合のいい利益調整」を防ぐために、年度の途中で報酬を変えることを厳しく制限しているのです。

この厳しい税金のルールは、合同会社の強みである「自由で柔軟な経営」とは、少し相性が悪い面があります。経営者としては「業績が良いから報酬を上げたい」と思っても、税金のルールがそれを許してくれません。

この「経営の自由さ」と「税金ルールの厳しさ」の違いをしっかり理解し、一年間を見通して計画的に報酬額を決めること。それが、合同会社を経営していく中で賢く税金と付き合うための第一歩です。

役員報酬の決め方について、メリットやデメリット等をさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事もぜひご覧ください。

役員のボーナスを経費にする方法!事前確定届出給与とは?

役員にボーナスを支給する場合、毎月決まった額を支払う「定期同額給与」のルールから外れるため、そのままでは会社の経費として認められません。

役員のボーナスを経費として認めてもらうための方法が、「事前確定届出給与(じぜんかくていとどけできゅうよ)」という制度です。

これは、「いつ、誰に、いくらを支払います」と書いた計画書を、あらかじめ税務署に提出しておく方法です。この届出通りにボーナスを支払うことで、例外的に会社の経費として認められるようになります。

役員報酬を年度の途中で変更できる「例外」とは?

原則として年度の途中で変えられない役員報酬ですが、「やむを得ない事情」がある場合は例外が認められます。この特別なケースでは、変更後の金額もきちんと会社の経費にできます。

国税庁が認めているのは、主に次の2つのパターンです。

  • 1. 役員の役職や仕事内容が大きく変わった時(臨時改定事由): 役員が昇格したり、逆に入院などで仕事がほとんどできなくなったりと、予測できない大きな変化があった場合です。
  • 2. 会社の経営が急激に悪化した時(業績悪化改定事由): 経営状態がひどく悪化し、銀行や取引先との関係を維持するために、やむを得ず役員報酬を下げなければならない場合です。「思ったより利益が出なかった」程度の理由では認められないので、注意が必要です。

「高すぎる役員報酬」と見なされるリスク

「毎月決まった額を支払う」というルールを守っていても、まだ安心はできません。

報酬の金額そのものが、役員の仕事内容、会社の利益状況、同じ業界の他の会社の水準などと比べて「高すぎる」と税務署に判断されることがあります。

もし税務調査でそう判断されると、「高すぎる」と見なされた部分が会社の経費として認められず、結果的に会社の税金が増えてしまうリスクがあります。

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合同会社の代表社員に関する登記手続きの実務

代表社員が新しく就任したり、交代したりした場合、その変更を法的に有効にするため、「登記」という公的な手続きが必要です。

この手続きには期限が決まっており、もし遅れてしまうとペナルティの対象になることもあるため、正しい手順を理解しておくことが重要です。

代表社員の就任・変更・退任時に必要な変更登記

法律では、代表社員の「氏名」と「住所」を登記(公的な登録)することが義務付けられています。これは、会社の責任者が誰なのかをハッキリと公開し、誰もが安心して取引できるようにするためです。

この登記された情報は誰でも見ることができるため、代表社員の自宅住所が一般に公開されることになります。

会社の責任を明確にするためのルールではありますが、プライバシー面では大きな注意点です。特に、自宅を会社の住所にしている場合、この点は見落としがちなので気をつけましょう。ちなみに、代表ではない他の経営メンバー(業務執行社員)は、住所までは公開されず、氏名のみの登記で済みます。

登記申請が必要なケースと、「2週間」という申請期限

次のような変更があった場合は、変更があった日から2週間以内に、管轄の法務局へ登記の変更手続きをする必要があります。

  • 新たに代表社員が就任したとき
  • 代表社員が辞めたとき
  • 代表社員が交代したとき
  • 代表社員の氏名や住所が変わったとき

もし、この2週間の期限を過ぎてしまうと、代表社員個人が100万円以下の過料(かりょう)というペナルティを科される可能性があるので、くれぐれも注意しましょう。

変更登記に必要な書類の一覧表

代表社員の変更登記で、一般的に必要となる書類は次の通りです。(ただし、代表社員の決め方などによって少し変わることがあります)

書類名概要
変更登記申請書法務局所定の申請フォーマット。
総社員の同意書 または 業務執行社員の互選書代表社員の選任や変更を決定したことを証明する書類。
就任承諾書新たに代表社員に就任する者が、その就任を承諾したことを示す書類。
辞任届退任する代表社員が提出する書類。
定款定款で代表社員を直接定めている場合に変更が必要。
印鑑証明書新たに代表社員に就任する個人の印鑑証明書。
印鑑(改印)届書会社の法人実印を変更する場合に必要。

登録免許税などの登記にかかる費用

代表社員の変更登記には、「登録免許税」という税金を納める必要があります。

この税額は会社の資本金によって異なり、資本金が1億円以下の会社なら1件につき1万円1億円を超える場合は3万円です。その他、必要書類を取り寄せる費用や郵送代といった実費もかかります。

関連記事:会社設立の費用はいくら?株式会社・合同会社の全コスト比較と賢い節約術  |ほまれ税理士法人

司法書士への依頼も検討すべきか

登記の手続きには専門的な知識が求められ、書類の作成も手間がかかります。厳しい期限も決まっているため、本業で忙しい経営者の方がご自身で全て行うのは、かなりの負担になるでしょう。

「書類に不備があって、やり直しになってしまった…」といった事態を避けるためにも、司法書士などの専門家に依頼することを検討するのが確実です。

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【ケース別】代表社員の退任・死亡時の法務・税務手続き

会社を経営していく中では、代表社員が退任する、あるいは万が一亡くなるといった事態は避けられません。特に、代表社員が亡くなった場合の対応は、会社の今後を大きく左右するため、非常に重要です。

代表社員が退任する場合の手続きと退職金の税務

代表社員が自らの意思で退任する場合、まずは社内で合意をとり、必要であれば会社のルールブックである「定款」を変更し、最後に法務局へ登記の変更手続きをする、という手順で進めます。

その際、これまでの会社への貢献に感謝を示すため、「役員退職金」が支払われることもあります。

退職金を経費にする方法と退職所得控除の活用

役員退職金は、税金面で、会社と個人の両方にとって大きなメリットがあります。

  • 【会社側のメリット】常識の範囲内の金額であれば、退職金の全額を会社の経費にできるため、法人税を大きく節約できます。金額が妥当かどうかは、一般的に「最後の役員報酬 × 役員として働いた年数 × 功績倍率(会社への貢献度を示す倍率)」といった計算式で判断されます。ただし、「最後の役員報酬」が大幅に増額していたり、「功績倍率」が社会の常識から見て高すぎる場合には、経費として認められないケースがあるため、注意が必要です。(一般的な社長職の「功績倍率」の目安は、「3.0倍」と言われています。)
  • 【個人側のメリット】:退職金は、毎月の給与とは違う「退職所得」という特別な区分で税金が計算されます。これには大きな優遇措置があり、まず勤続年数に応じた多額の「退職所得控除」で税金がかかる金額を大きく減らせます。さらに、控除した後の金額の半分(1/2)だけが課税対象になるため、所得税や住民税の負担が、給与でもらうよりずっと軽くなるのです。

代表社員が死亡した場合の大事な論点!  事業承継する?解散する?

代表社員が亡くなることは、合同会社にとってとても大きな経営リスクの一つです。この時、会社の未来がどうなるかは、会社のルールブックである「定款」に、『亡くなった社員の地位や権利を相続人が引き継ぐのか』というルール(持分の承継)が書かれているか、ただこの一点で決まります。

会社の「定款」は、単なる設立時の形式的な書類ではありません。もしもの時に事業をどう引き継ぐかを決める、いわば「会社の遺言書」とも言える、非常に重要な役割を持っているのです。

定款に「持分の承継」規定がある場合:相続人が受け継ぐ

会社のルールブックである「定款」に、「社員が亡くなった場合、その相続人が地位を引き継ぐ」という内容のルールがきちんと定められていれば、事業の引き継ぎはスムーズに進みます。

具体的には、亡くなった代表社員の相続人が、その権利や地位(持分)をそのまま受け継ぎ、新しい社員として会社の一員になります。これにより、会社を解散することなく、事業を続けることができるのです。

手続きとしては、戸籍謄本(こせきとうほん)などで法的な相続人であることを証明し、新しい社員が加わったことの変更登記を行います。

定款に規定がない場合:原則「退社扱い」となり、現金の払戻しが発生する!

もし定款に相続のルールがなければ、事態は全く変わってしまいます。法律の原則では、社員が亡くなることは、会社を「辞めた(退社した)」のと同じ扱いになるのです。

この場合、法的な相続人であっても亡くなった方の社員としての地位を引き継ぐことはできません。その代わりに、「出資した分のお金を現金で返してください」と会社に請求できる権利(持分払戻請求権)を相続することになります。

会社は、この請求に応じ、会社の純資産をもとに計算した現金を支払う義務を負います。これは会社にとって、予定外の大きな現金支出となり、資金繰りを一気に悪化させ、経営を危うくしかねません。

さらに、お金を受け取った相続人側にも、「みなし配当」という特殊な税金がかかるなど、複雑な税務問題が発生します。

社員が一人だけの合同会社で社員が死亡した場合の会社解散リスクと対策

一番大変なケースが、社員が一人しかいない「一人合同会社」のケースです。

もし唯一の社員である代表社員が亡くなり、かつ会社のルールブックである「定款」に相続のルールがなければ、会社には代表者が誰もいなくなってしまいます。これは法律で定められた「会社の解散理由」にあたるため、会社は自動的に解散(強制的な廃業)となり、清算手続きに進むしかありません。

これまで懸命に築いてきた事業や取引先との信頼関係が、「定款にたった一文がなかった」というだけで、一瞬で全て失われてしまうのです。

この最悪の事態を避ける方法としては、会社を作るとき、あるいは今すぐにでも、定款に「相続人が事業を引き継ぐ」というルールを加えておくことです。

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まとめ:代表社員の役割を理解し、健全な会社経営を実現する

合同会社の「代表社員」は、単なる肩書きではなく、会社の法律上の代表者として大きな責任を担う重要なポジションです。株式会社の代表取締役と似ているようで、「出資者=経営者」という合同会社ならではの仕組みからくる、独自の権限や税金ルールがあります。

本記事で解説した重要ポイントを、最後にもう一度確認しましょう。

  • 会社の「顔」となる最高責任者:会社の代表として、外部との契約などを行う最終的な責任者です。
  • 「権限」と「責任」は表裏一体:大きな権限を持つ一方、注意深く会社を経営する義務があります。特に代表が複数いる場合は、一人が勝手に契約してしまうリスクも理解しておく必要があります。
  • 報酬には厳しい税金ルール:役員報酬は「毎月定額」が原則。事業年度が始まってから3ヶ月以内に金額を決めることが、節税の重要なポイントです。
  • 変更があれば2週間以内に登記:代表社員が変わった時などは、2週間以内に法務局での手続きが必須です。
  • 「定款」は会社の生命線:特に、もしもの時に備えて相続人が事業を引き継ぐ際のルールを定款に定めておくことは、会社を守るために不可欠です。

合同会社のメリットである「自由度の高さ」を最大限に活かしながら、法律や税金のルールをきちんと守っていくことが、会社を長く成長させるための土台となります。

こうした専門的な判断や手続きについてご不安な点があれば、私たちほまれ税理士法人が、あなたの会社の健全な成長を力強くサポートします。どうぞお気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

税理士/近畿税理士会所属/税理士登録年2005年/登録番号102807/会計システムの開発エンジニアとしてキャリアをスタート。その後、大阪市内の税理士法人での勤務を経て2005年に税理士として登録し、個人事務所を開業。法人化などを経て、現在はほまれ税理士法人の代表を務める。 「後世に誇れる仕事をする」を理念に、これまで2,000社以上の顧問先を支援。企業のライフステージに合わせた総合的なコンサルティングを提供している。

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