税務署からの電話!まずやるべきことは【詐欺対策と担当部署の確認】

【はじめに】突然の電話に、落ち着いて対応するために

こんにちは!税理士の井上です。

ある日、あなたの電話に見知らぬ番号からの着信。「税務署です」と名乗る相手からの電話は、たとえ何もやましいことがなくても多くの経営者を緊張させるものです。

税務署からの電話は、必ずしも深刻な事態を意味するわけではありません。

その目的をしっかりと理解し何をすべきかを知っておくだけで、あなたの心の負担は軽くなるはずです。

この記事では電話の目的を見極めるポイントから、具体的な対応策、そして詐欺電話との見分け方までを解説します。

目次

冷静に。電話で確認すべき「4つのこと」

税務署を名乗る電話がかかってきても、慌てる必要はありません。

まず最初に確認すべきことは、相手が誰で何の用件かを確認することです。必ず以下の4点をメモに取りましょう。

  1. どこの税務署か
  2. 担当者の部署と名前
  3. 何のための電話か(用件)
  4. 折り返すための直通の電話番号

それ、本物?巧妙化する「税務署をかたる詐欺」の見分け方

税務署の職員を名乗った還付金詐欺などの不審な電話がかかってくることがあります。

本物の税務署員は、電話で次のようなことを要求することは、絶対にありません。

  • ATMへ行くように指示すること
  • 還付金のために振込口座や暗証番号を聞くこと
  • 税金を納めるために個人名義の口座へ振り込ませること

もし少しでも「怪しいな」と感じたら、何も答えずにすぐに電話を切ってください。

そして相手が名乗った税務署の名前をネットで検索し、公式サイトに載っている電話番号にかけ直しましょう。「先ほど、〇〇という方から電話があったのですが…」と確認すれば、それが本物かどうかがすぐに分かります。

電話をかけてきた「部署名」で、相手の目的が分かる

税務署は専門分野ごとに部署が分かれています。

部署ごとの主な役割と緊急度

【緊急度:高】→ すぐに税理士へ!

  • 個人課税部門・法人課税部門 

税務調査の事前連絡や、申告内容に関する問い合わせ(お尋ね)の可能性が高いです。その場で回答せず、すぐに税理士に相談しましょう。

  • 資産課税部門 

相続税や贈与税など、特に専門知識が求められる、複雑な調査の連絡の可能性があります。自己判断での対応は避けてください。

【緊急度:中】→ まずは状況確認を

  • 徴収(ちょうしゅう)部門 

税金の支払いが遅れている場合などの、督促の連絡です。まずは納付状況を確認し、もし支払いが難しい場合は、納付の相談が必要です。

  • 管理運営部門 

提出した書類の、ちょっとした記載ミスや、添付書類の不足など、事務的な確認の連絡であることがほとんどです。

税務署からの電話:担当部署別の用件 早見表

担当部署考えられる用件あなたが、まずやるべきこと
個人課税部門 法人課税部門税務調査の事前連絡、または申告内容の具体的な問い合わせ(お尋ね)すぐに税理士へ連絡。 その場で日程を決めたり、質問に答えたりしないこと。
資産課税部門相続税、贈与税、不動産の売却など、特に専門的な調査や問い合わせすぐに税理士へ連絡。 専門性が非常に高い分野なので、自己判断での回答は絶対に避ける。
徴収(ちょうしゅう)部門税金の支払いが遅れていることに対する、督促の連絡まずは納付状況を確認。 もし支払いが難しい場合は、すぐに税理士に相談する。
管理運営部門提出した書類の、ちょっとした記載ミスや、添付書類の不足などの事務連絡用件を落ち着いて聞き、税理士に報告。 指示された対応を行う。

関連記事:確定申告の間違い、税務署から連絡はくる? ケース別対処法とペナルティを税理士が完全解説  |ほまれ税理士法人

【用件別】税務署から電話がかかってくる主な4つの例と、正しい対応

①:「税務調査」のお知らせ

会社や事業の帳簿などを直接、本格的に調べに行きますよという最も重要度が高い連絡です。

 法律で決まっている丁寧な「事前通知」

法律上、税務調査を行う前には原則として電話で事前に「いつ、どこで、何について調査するか」を知らせることになっています。この電話で伝えられる内容は、法律で決まっている重要な連絡事項ですので正確に聞き取りましょう。

「任意」でも「拒否」はできない

調査は「任意調査」と呼ばれますが、法律上の義務があるため正当な理由なく拒否することはできません。(もし拒否すれば罰則もあります)

電話で言うべき「一言」

調査官から希望の日時を言われても、「税理士と相談の上、改めてこちらからご連絡します」

必ずこう伝え、一度電話を切りましょう。その後、顧問税理士と相談して、税務調査の日程を決めていきましょう。

②:「お尋ね」

「申告内容について少し教えてください」といった形でかかってくるのが「お尋ね」です。これは税務調査とは似ているようで全く違うものです。

「お尋ね」は、あくまで「お願い」ベース

「お尋ね」は、法律上「行政指導」という税務署からのお願いにあたります。そのため法的な強制力はなく、回答する義務はありません。

ただし、無視は一番の悪手

義務はないからと無視すると、「何か隠しているな?」と疑われ、強制力のある本格的な「税務調査」にレベルアップする可能性が高まります。

 よく聞かれる「お尋ね」の例

  • 書類や計算のミスについて
  • 去年に比べて、売上や経費が大きく変動している理由について
  • 取引先が提出した書類とあなたの申告内容がズレていることについて

【比較表】「税務調査」と「お尋ね」、何が違う?

比較項目税務調査お尋ね
法的根拠法律に基づく「調査」法律に基づく「お願い」
返事をする義務あり(断れない)なし(任意)
もし拒否したら?罰則あり罰則なし
調査官の権限帳簿などを調べる権利があるあくまで協力のお願いのみ
主な目的申告内容全体を、本格的にチェックする書類のちょっとしたミスや、簡単な疑問点を確認する

関連記事:税務調査とは?【完全ガイド】いつ来るか・流れ・対策を税理士が解説  |ほまれ税理士法人

③:税金の「支払い」に関する連絡

「まだ〇〇税が納付されていませんよ」といった、税金の支払いに関する督促の連絡がくることもあります。

この種の電話は地元の税務署ではなく、その上部組織である国税局の「納税コールセンター」から、専門の部署が電話をかけてくるのが一般的です。

もし手元のお金が足りず支払いが難しい場合は、正直に状況を伝え、「分割で払えませんか?」といった相談をしましょう。「納税の猶予」という、支払いを待ってもらえる制度が使える可能性もあります。放置すると、延滞税が膨らむだけでなく、最悪の場合、財産を差し押さえられることもあるため、早めの相談が何よりも大切です。

④:あなたの「取引先」についての調査協力のお願い

「お取引のある〇〇社の調査で、少しお話を伺ってもよろしいですか?」

これは、「反面調査(はんめんちょうさ)」と呼ばれる、あなたの取引先に対する税務調査の協力依頼の連絡です。税務署があなたの取引先の申告内容が正しいかを確認するため、裏付けを取る目的で行います。

 協力は「義務」。

この反面調査への協力は法律上の義務であり、正当な理由なく拒否することはできません(拒否すれば、罰則もありますが、事前通知がないケースが多いため、状況によっては日を改めることも可能です)。

ただし協力する際も、必要以上に情報を開示する必要はありません。

  • まず、税理士に連絡する 

可能であれば、税理士に立ち会ってもらうのが、一番安全です。

  • 質問の範囲を最初に確認する 

「どの会社の、いつの、どの取引についてですか?」と話の範囲を限定しましょう。

  • 聞かれたことにだけ、正直に答える 

要求された書類だけを見せ、不要な資料を提示することは避けましょう。

反面調査は、図らずも自社の経理体制を税務署に見られる機会でもあります。もしここで管理の甘さが見つかれば、次はあなたの会社が調査対象になる可能性もゼロではありません。日頃から、正しい経理を心がけることが大切です。

税務署から電話がかかってきた際は、それぞれの目的と法的背景を正しく理解し、適切な対応を取りましょう。

なぜ、税理士への相談が「一番の対策」になるのか?

税務署から電話があった時、すぐに税理士へ相談することは単にアドバイスをもらう以上の、大きな意味を持ちます。

調査が始まる「前」:時心の余裕が生まれる

税理士はあなたと、税務署との窓口になります。日程調整などを任せられるため、精神的な負担が軽くなるだけでなく、帳簿の再確認や資料準備にも対応してくれます。

調査の「当日」:あなたの代理人として交渉してくれる

調査当日、税理士が立ち会うことで調査官からの専門的な質問や、厳しい指摘に対しても法律のルールに基づいて冷静に説明・交渉してくれます。

調査が「終わった後」:追加の税金を、最小限に抑える

もし申告ミスが見つかった場合、税理士は追加で払う税金(追徴課税)が少しでも安くなるよう、調査官と最終的な交渉を行います。その後の複雑な「修正申告書」の作成・提出も全て任せることができます。

 顧問税理士がいない場合は?

顧問税理士がいなくても、税務調査の対応だけを単発で依頼できる「スポット契約」もあります。

ただし税務調査は、税理士の仕事の中でも特に高度な専門知識と交渉力が求められる分野です。「税務調査の対応実績」が豊富かどうかをしっかり確認し、信頼できる顧問税理士を持つことをお勧めします。

税務署からの電話に関する、よくある質問(Q&A)

Q1:どんな人(会社)が、調査の対象になりやすいですか?

A1:一概には言えませんが、一般的に次のような特徴があると調査の対象になりやすいと言われています。

Q2:調査では何年前まで遡って調べられますか?

A2:まず「過去3年分」が基本です。

ただし、そこでミスが見つかれば5年、さらに悪質な不正(脱税)が疑われれば最大で7年まで遡って調べられる可能性があります。

関連記事:税務調査は過去何年分?原則「3年」、最大「7年」の法則を解説します |ほまれ税理士法人

Q3:もし、帳簿や領収書をなくしてしまったら?

A3:正直に「なくしてしまいました」と伝えましょう。「わざと捨てた」と疑われないことが大切です。

帳簿などがないと、売上や経費の根拠が示せないため、税務署があなたの所得を推測で計算する「推計課税」が行われるリスクがあります。これは通常、あなたにとって不利な(=税金が高くなる)結果になることが多いです。

Q4:電話をずっと無視し続けたら、どうなりますか?

A4無視して良いことは一つもありません。

  • 税務調査の連絡 → ある日突然、予告なしで調査に来る可能性があります。
  • お尋ね → 疑いが深まり、本格的な税務調査に切り替わる可能性が高まります。
  • 納税の催告 → 最終的に、銀行口座や財産を差し押さえられます。

まとめ:その一本の電話を、会社の未来を良くする「きっかけ」に

税務署からの電話は決して気持ちの良いものではありません。

しかしそれはあなたの会社のお金の流れや、経理のやり方を根本から見直すためのまたとない「きっかけ」にもなります。

大切なのは、慌てないこと。この記事で解説したように、「まず相手の情報を確認し、一度電話を切って、専門家に相談する」という最初のステップを冷静に踏み出すことです。


税務調査や税務署とのやり取りに少しでも不安を感じたら、ほまれ税理士法人までお気軽にお問い合わせください。私たちほまれ税理士法人は、あなたの状況をじっくり伺い、その不安を「安心」に変えるお手伝いをします。初回のご相談は無料ですので、一人で悩まず、まずはお気軽にお声がけください。

よかったらシェアしてください!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

税理士/近畿税理士会所属/税理士登録年2005年/登録番号102807/会計システムの開発エンジニアとしてキャリアをスタート。その後、大阪市内の税理士法人での勤務を経て2005年に税理士として登録し、個人事務所を開業。法人化などを経て、現在はほまれ税理士法人の代表を務める。 「後世に誇れる仕事をする」を理念に、これまで2,000社以上の顧問先を支援。企業のライフステージに合わせた総合的なコンサルティングを提供している。

目次