はじめに:その「無申告」、税務署はすでに知っています
こんにちは!税理士の井上です。
税理士として多くのご相談を受ける中で、私が「危険だ」と感じるのが「今まで何も言われなかったから、大丈夫だろう」という無申告に対する楽観的な考えです。
「少額だからバレない」「今まで何も言われなかったから大丈夫」…こうした希望は残念ながら今の税務署には一切通用しません。
結論から言えばあなたの無申告は遅かれ早かれ、高い確率で税務署にバレます。
なぜなら、国税庁の巨大データベース(KSKシステム)はあなたの取引先が提出した書類などから、あなたが申告していない収入をすでに把握しているからです。
そして税務調査の連絡が来るのは、全てを把握された後です。その時には、本来払う必要のなかった重いペナルティが課されてしまいます。
この記事では無申告がなぜバレるのか、その具体的な仕組みと最も重要な「今すぐ何をすべきか」について、専門家の視点から徹底的に解説します。手遅れになる前に正しい知識を身につけ、最善の一歩を踏み出しましょう。
なぜ、無申告は必ずバレるのか?国税庁の「包囲網」
国税庁はあなたが提出する申告書だけに頼っているわけではありません。あらゆる角度から情報を集め、無申告者を見つけ出す強力な情報ネットワークを持っています。
1. 全ての情報を繋げる、国税総合管理システム「KSK」
税務署があなたの所得を把握する、その中心にあるのが巨大データベース「KSKシステム」です。
このシステムには、あなたの過去の申告内容だけでなく、「誰が、誰に、いくら支払ったか」という記録(支払調書)など、日本中のお金の動きに関するあらゆる情報が集められています。
そして、AIなどを活用し「支払いの記録はあるのに収入の申告がない」といった矛盾を、自動的に見つけ出すのです。
2. あなたの「取引先」からの情報
無申告が見つかる最も多いきっかけが、あなたの取引先から税務署に提出される「支払調書」です。ここには、「誰に、いくら払ったか」が全て記録されています。
また、あなたの取引先に税務調査が入った場合(反面調査)、その会社の経費の支払い先としてあなたの名前が挙がります。その際、「この人はきちんと申告しているだろうか?」と芋づる式にチェックされるのです。
3. 「銀行口座」は最長10年遡ってチェックされる
税務署は、法律に基づきあなたの同意なく銀行に対して口座情報の開示を求めることができます。
申告がないのに事業で使っているようなお金の入金が続いていたり、収入に見合わない高額な買い物をしていたりすると、「このお金はどこから来たんだろう?」と最長で過去10年分の取引履歴を徹底的に調べられます。家族名義の口座も例外ではありません。
4. 「大きな買い物」もすべて見られている
あなたが家や車といった、大きな買い物をした情報も税務署は把握しています。
申告された所得がないのに高額な資産を買っていれば、税務署から「そのお金はどうやって用意したのですか?」というお尋ねの書類が届くことがあります。その資金源を調べる中で、無申告が発覚するのです。
5. 第三者からの「タレコミ」
残念ながら元従業員や取引先、時にはプライベートな知人などが国税庁の窓口に匿名で情報提供をすることも調査のきっかけになります。
無申告者への税務調査、その実態と流れ
「税務調査」と聞くと、ある日突然、家に調査官がやって来る…そんなイメージを持っていませんか?
しかしほとんどの調査は、きちんと法律の手順に沿って事前の電話連絡の上で行われます。
どんな人が調査の対象になりやすい?
税務調査の対象は運で選ばれるわけではありません。国税庁のAIなどが「申告ミスの可能性が高い」と判断した人から効率的に選ばれています。
特に次のような個人事業主は、注意が必要です。
- そもそも申告をしていない(無申告)
- 売上が急に伸びた、または1,000万円前後 特に消費税の支払い義務が生まれる「1,000万円の壁」の周辺は、厳しくチェックされます。
- 飲食、美容、建設など、現金のやり取りが多い事業 お金の流れが追いづらいため、調査の対象になりやすいと言われています。
- IT関連など、国が「特に注目している」と公表している業種
- 過去に、申告漏れなどを指摘されたことがある
事前連絡から調査終了まで、具体的な「4つのステップ」
無申告者への税務調査も、基本的には法律の手順に沿って進みます。その具体的な流れを見ていきましょう。
ステップ1:税務署から一本の電話がかかってくる
ほとんどの場合、調査官がいきなり家に来ることはありません。まず、税務署から電話で「事前通知」があります。(※テレビで見るような突然の調査は、脱税額が巨額な悪質ケースに限られます)
この電話で、調査の日時や場所、対象となる税金の種類や期間(通常3〜5年分)などが伝えられます。
ステップ2:調査日程の調整と証拠資料の準備
税務署が提示した日時は、あくまで「お願い」です。準備に時間が必要などの理由があれば、日程の変更は可能です。慌ててOKせず、落ち着いて準備期間を確保しましょう。
日程を調整しながら、調査に必要な書類を準備します。主に、過去3〜5年分の以下の資料です。
- 帳簿
- 売上に関する資料(請求書など)
- 経費に関する資料(領収書など)
- 全ての銀行口座の通帳
ステップ3:調査当日の流れとよくある質問
調査当日は、通常1〜2名の調査官が午前10時頃にやって来ます。期間は1〜2日間が一般的です。
- 午前:まずは世間話も交えながら、どんな事業をしているかといったヒアリングから始まります。
- 午後:準備した帳簿や領収書、通帳などを一つひとつ細かくチェックする本格的な調査に移ります。
調査官からは、「この売上が帳簿にないのはなぜですか?」「この領収書は、プライベートの買い物ではないですか?」といった、具体的な質問がされます。嘘や曖昧な答えは避け、事実だけを正直に話すことが大切です。
ステップ4:調査終了後、結果の連絡を待つ
実地調査が終わってから数か月ほどで税務署から最終的な結果が連絡されます。結果は主に次の3パターンです。
- 申告是認提出した申告内容で「問題なし」と認められた、一番良い結果です。
- 修正申告 税務署からの指摘に納得し「間違っていました」と自分から申告をやり直す、一般的な決着方法です。
- 更正指摘に納得せず修正申告もしない場合に、税務署が強制的に税額を決定する処分です。
調査は何年前まで?「3年・5年・7年」ルールの、正しい知識
税務調査で、何年前の申告まで遡って調べられるか。その期間は、あなたの申告内容の「深刻度」によって、次の3段階に分かれています。
① 通常の場合 → 過去3年分
特に大きな問題が疑われていない、ごく一般的な調査では直近3年分を調べられるのが基本です。
② 申告漏れなど、ミスが見つかった場合 → 過去5年分
3年分の調査で計算ミスなどの申告漏れが見つかると、調査期間は過去5年分に広がるのが一般的です。
なぜなら法律上の基本ルールでは、税務署は「5年分」遡って調査する権利を持っているからです。普段の3年調査は、あくまで税務署側の都合による慣例に過ぎません。
③ 悪質な不正(脱税)があった場合 → 最大で過去7年分
売上をわざと隠したり架空の経費を計上したりするなど、「意図的に税金を逃れようとした」と判断されるとペナルティとして、調査期間は最大で7年分まで延長されます。
【重要】無申告のペナルティ。「追加の税金」は、こう決まる
無申告が見つかった場合、支払うのは溜まっていた税金だけではありません。ペナルティとしてさらに「追加の税金」が課せられます。
大きく分けて①罰金にあたる「加算税」と②利息にあたる「延滞税」で構成されています。
罰金にあたる「加算税」。自主申告するか否かで、重さが違う
「加算税」の税率は、あなたがいつ申告したかによって変わります。
- 【ベストな選択】調査の連絡が来る前に自主的に申告した場合 ペナルティは本来の税額の5%で済みます。
- 【ワーストな選択】税務署に指摘されてから申告した場合 ペナルティは本来の税額の15%〜20%に跳ね上がります。
- 【論外】意図的に所得を隠していた場合(重加算税) 「うっかり」ではなく「わざと」隠していたと判断されるとペナルティは40%という最も重いものになります。
さらに、利息としての「延滞税」もかかる
上記の罰金(加算税)とは別に、納税が遅れたことに対する「利息」として延滞税もかかります。これは納付する日までの日数に応じて、雪だるま式に増えていくお金です。
まとめると、あなたが支払うことになるのは「①本来の税金+②加算税(罰金)+③延滞税(利息)」の合計額です。
特に加算税は、自ら申告する(5%)のと、指摘されてから申告する(15%〜)のとでは3倍以上の差が生まれます。1日でも早く自ら行動することが、金銭的にも精神的にも、ダメージを最小限に抑える唯一の方法なのです。
手遅れになる前に!無申告のあなたが今すぐやるべき3つのこと
無申告を放置するリスクは、計り知れません。しかし、まだ大丈夫。税務署から連絡が来る前なら、そのダメージを最小限に抑えることができます。
1. 1日でも早く、自分から「期限後申告」をする
これが、最善の方法です。
税務署から指摘される前に、自分から「申告が遅れてすみません」と申告すれば、ペナルティ(無申告加算税)の税率が、15%から5%へと、劇的に軽くなります。
例えば本来の税金が100万円だった場合、ペナルティの額が15万円から5万円に減る計算です。この10万円の差は決して小さくありません。
2. 過去の「証拠」を、できる限りかき集める
正しい申告書を作るには、過去の取引の証拠が必要です。今すぐ以下の資料を探し整理しましょう。
- 売上の証拠:請求書の控え、売上が振り込まれた通帳など
- 経費の証拠:支払った経費の領収書、カードの利用明細など
- 全てのお金の動き:事業用・プライベート用を問わず、全ての銀行通帳
もし一部の領収書をなくしていても、諦めないでください。通帳の記録などから、経費として認められることもあります。
3. 税理士に相談する
無申告の解消は、ただ書類を作るだけではありません。過去の帳簿を正確に作り直し、法律のルールに沿って最も適正な形で申告書を仕上げるには、税務に関する正しい知識が必要です。
【税理士に頼む、3つのメリット】
- 納税額を適正な範囲に抑えてくれる 認められる経費を漏れなく計上するなど、プロの知識で払いすぎの税金を防ぎます。
- 税務署との全てのやり取りを代行してくれる あなたに代わって、税務署とのやり取りをしてくれます。これにより精神的な負担が軽くなるだけでなく、やり取りに費やしていたはずの時間が解放され本業に集中できます。
- もしもの税務調査でも、あなたを守ってくれる申告後に調査が行われることになっても、あなたの代理人として正当な権利を守ります。
無申告の解消は、時間との勝負です。一人で悩まず、まずは専門家への相談から第一歩を踏み出しましょう。
「期限後申告」を税理士に依頼する場合、費用はいくらかかる?
期限後の申告を税理士に依頼する場合の費用は、あなたの状況の「複雑さ」によって大きく変わります。
主に、以下の4つのポイントで見積もり金額が決まります。
- 申告する年数(何年分、遡るか)
- 事業の規模(売上や、取引の量はどれくらいか)
- 資料の整理状況(領収書などが、きちんと整理されているか)
- 依頼する範囲(申告書の作成だけか、税務調査の立会いまでか)
費用モデルケース(個人事業主の場合)】
| 無申告の年数 | 年間の売上 | 主な作業内容 | 費用(税抜)の目安 |
| 1年分 | 〜500万円 | 記帳代行+申告書作成 | 10万円 〜 |
| 3年分 | 〜1,000万円 | 記帳代行+3年分の申告書作成 | 30万円 〜 |
| 5年分 | 1,000万円〜 | 記帳代行+5年分の申告書作成+税務調査の立会い | 50万円 〜 |
決して安い金額ではありませんが、プロである税理士が交渉することで、最も重い罰金(重加算税)を避けられたり、認められる経費を漏れなく計上できたりします。
その結果、「自分でやるより税理士に頼んだ方がトータルで支払うお金が安くなった」というケースもあります。
税理士費用は単なる「コスト」ではなく、あなたの金銭的なダメージを最小限に抑えるための「投資」と考えてください。
まとめ:無申告の不安は、すぐに税理士へ相談を
この記事では無申告がなぜ必ずバレるのか、そして放置することがいかに大きなリスクを伴うかを解説してきました。
最後に改めて大切なポイントを3つ、おさらいします。
- 無申告は、必ずバレる。税務署の情報網から逃れることはできません。
- ペナルティは重い。本来の税金に加えて重い加算税や、雪だるま式に増える延滞税が待っています。
- 一番の対策は、1日でも早く自ら申告すること。調査の連絡が来る前に動けばペナルティを軽くなります。
不安な気持ちのまま問題を先送りにせずに、この記事を読んだ「今」のタイミングで動き出しませんか。
もし、あなたが「何から手をつけていいか分からない」「一人でどう動けばいいかわからない」と思っているなら、私たちほまれ税理士法人へお気軽にお問い合わせください。あなたの状況をじっくり伺い、ダメージを最小限に抑えるための最善の道筋を一緒に探します。
初回のご相談は無料です。その勇気ある一歩を、私たちが全力で受け止めます。
あなたからのお問い合わせをお待ちしております。

