【税理士が解説】個人事業主が「年収は?」と聞かれたときの正しい答え方

 A「今年は昇格して年収600万円を超えそうです!Bさんはもっと稼いでいますよね!」

 B「いやそれほどでもないですよ。年収は抑えていますから!」

こんにちは!税理士の井上です。先日、レストランでこんな会話が聞こえてきました。

この会話、あなたはどう感じましたか?Aさんは会社員、Bさんはおそらく個人事業主でしょう。税理士である私の耳には、Bさんの「年収は抑えています」という言葉が特に引っかかりました。なぜなら、ここには税務調査のリスクから、住宅ローン審査、さらにはプライベートな人間関係まで、様々な論点が隠れているからです。

実はこの話、他人事ではありません。個人事業主のあなたなら「年収は?」と聞かれて、一度は答えに詰まった経験があるのではないでしょうか?

会社員なら源泉徴収票の金額を伝えればいいのですが、個人事業主はそうはいきません。「売上」と、経費を引いた「所得」、どちらを答えるべきか? 場面によって正解は違い、答え方一つで、損をしてしまうことさえあるのです。

住宅ローンの審査、賃貸の契約、クレジットカードの申し込みといった公的な場面から、友人や親戚との何気ない会話まで、その状況は様々です。

そこでこの記事では、税理士という専門家の視点から、個人事業主の「年収」にまつわるあらゆる疑問に、ズバリお答えします。 

「そもそも個人事業主の年収って何?」という基本から、「ローン審査では何と答えるべき?」といった場面別の最適な答え方、年収を証明する公的な書類の取り方、そして、軽い気持ちで嘘をついてしまった場合のリスクまで、一つひとつ丁寧に解説します。

この記事を最後まで読めば、今後「年収は?」と聞かれた際に、的確に答えられるようになります。

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目次

【結論】個人事業主の年収は「所得」。でも、伝え方にはコツがあります。

個人事業主が「年収は?」と聞かれたとき、答えるべきなのは、原則として確定申告書に書かれた「所得金額」です。

ただし、「じゃあ、この所得金額をそのまま言えばいいんだな」と考えるかもしれませんが、特に青色申告をしている方には、大切な注意点があります。

なぜ「売上」ではなく「所得」と答えるのか?

「年収は?」と聞かれて、つい見栄えのいい「売上」を答えたくなりますが、これはNG。特にローン審査など、お金の信用が関わる場面では、「嘘の金額を伝えた」と見なされ、大きなトラブルに発展しかねません。

そもそも「売上」と「所得」は、全くの別物です。 「売上 − 経費 = 所得(もうけ)」 という関係を、まずはしっかり理解しましょう。

「売上」は、1年間でお客さんからいただいたお金の総額です。そして「所得」とは、その売上から経費をすべて差し引いた「儲け」のことであり、これこそが個人事業主にとっての「年収」にあたる金額です。

例えば、年間の売上高が1,500万円あっても、必要経費が1,000万円かかっていれば、所得は500万円です。金融機関や行政機関が個人の支払い能力や経済状況を判断する際に基準とするのは、事業の規模を示す「売上」ではなく、個人の実質的な稼ぎである「所得」なのです 。

会社員の「年収」と個人事業主の「所得」、何がどう違う?

ここで改めて、会社員の「年収」と個人事業主の「所得」の違いを、シンプルに整理してみましょう。

  • 会社員の「年収」とは?税金や社会保険料が引かれる前の、会社から支払われるお金の総額(=額面)です。
  • 個人事業主の「所得」とは?年間の「売上」から、仕事で使った「必要経費」を差し引いた、手元に残る「儲け」のことです。

どちらも「税金などが引かれる前の金額」という点では、立ち位置は似ています。

このように、計算の仕方は異なりますが、個人事業主が「年収」と伝える際は、この「所得」の金額を使うのが一般的だと覚えておきましょう。

【税金の基本】個人事業主の「年収」=「事業所得」とは?

少し専門的な話になりますが、個人事業主の儲けは、「事業所得」と呼ばれます。

国税庁のウェブサイトを見ると、少し難しい言葉で「農業やサービス業などの事業から生まれる所得」と書かれていますが、要するに「ビジネスで稼いだ利益(儲け)」のことです。

そしてこの「事業所得」の計算方法は、法律で決まっています。

総収入金額(=売上)− 必要経費 = 事業所得

法律の世界には「年収」という言葉のハッキリとした定義はありません。しかし、一般的には、個人事業主が「私の年収は〇〇円です」と話す場合、この「事業所得」の金額を指す、と考えて間違いありません。

※事業以外に家賃収入(不動産所得)など他の所得がある場合は、それらを合計した「合計所得金額」が、その人の年収となります。

自分の「所得」は、どこを見ればわかる?

では、あなたの正確な「年収(=所得)」は、どの書類を見れば分かるのでしょうか?

毎年、税務署に提出している「確定申告書」を見れば分かります。

確定申告書「第一表」の、この欄をチェック!

お手元に確定申告書の控え(第一表)の真ん中あたりに「所得金額等」というブロックがあります。

  • 事業の所得だけの場合その中の「事業(営業等) ①」の欄にある金額。これこそが、あなたの事業での「所得」です。
  • 他の所得もある場合不動産収入など他の所得があれば、一番下の「合計 ⑬」の金額。これが、あなたのその年の「年収」として扱われる公式な金額になります。

関連記事:【2026年最新】確定申告の流れを完全ガイド! 初心者向けに準備から納税まで7ステップで徹底解説  |ほまれ税理士法人

【青色申告者必読】青色申告者の「所得」は”青色申告特別控除”を加算する。

ここが専門家としてお伝えしたい、大切なポイントです。

青色申告を行っている場合、確定申告書に書かれている「所得金額」は、すでに「青色申告特別控除(最大65万円など)」が引かれた後の、税金計算上、少しおまけしてもらった金額になっています。

この控除、実は「ご褒美」のようなもので「ちゃんと帳簿をつけたので、税金を計算するときだけ、特別に儲けを少なく見なしてあげますよ」という、国からのボーナスなのです。

実際にお金が出ていったわけではないので、この控除額は、あなたのビジネスが持つ本来の「稼ぐ力」とは関係ありません。

銀行などが本当に知りたいのは、税金計算上の数字ではなく「この事業は、本当は年間いくら利益を生み出せるのか?」という、ビジネスそのものの体力です。ですから、ローン審査などで年収を伝えるときは、控除額を加算した金額を伝えましょう。

【年収の伝え方(例)】 対外的に説明するべき年収 = 確定申告書の所得金額 + 青色申告特別控除額

例えば、確定申告書の事業所得が450万円で、65万円の青色申告特別控除を受けている場合。「決算書上の所得は450万円ですが、青色申告控除前の利益は515万円です」と一言添えるだけで、あなたの事業への評価はぐっと高まるはずです。この差は、特にローン審査などでは影響してくることもあります。

表1:確定申告書で自分の年収を確認する手順

手順確認・計算すること確定申告書での確認箇所金額例備考
1事業所得の金額を確認する第一表「所得金額等」の「事業(営業等)」4,500,000円まずはこの金額を把握します。
2青色申告特別控除額を確認する第一表「税金の計算」の「青色申告特別控除額」650,000円青色申告者のみ。白色申告者は0円です。
3対外的に説明する年収を計算する手順1+手順25,150,000円この金額があなたの事業の真の収益力を示します。

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【場面別】5つのケースで見る「年収」の正しい伝え方と必要書類

ひとくちに「年収は?」と言っても、その質問の背景は様々です。ここでは代表的な5つの場面を取り上げ、それぞれどう答えるのがベストなのか、必要な書類と合わせて見ていきましょう。

1. 住宅ローン・事業の融資を受けたいとき

個人事業主にとって、大きな関門の一つですね。

融資を受ける時に申告するのは売上でなく、「所得」です。

なぜ銀行は「売上」より「所得」を気にするのか?

銀行などの金融機関が何よりも知りたいのは、「この人にお金を貸して、きちんと最後まで返してくれるか?」という一点です。

その判断材料になるのが、会社の規模を示す「売上」よりも、最終的な儲けである「所得」になります。たとえ年商が1億円あっても、赤字であれば「返済する力はない」と見なされます。

さらに、銀行は過去2〜3年分の所得を見ながら、「利益は安定しているか」「事業は成長しているか」といった将来性も厳しくチェックします。

正直な経営者ほど悩む「節税」と「ローン」のジレンマ

ここに、真面目な経営者ほど頭を悩ませる、大きなジレンマが生まれます。

  • 【節税のためには】→ 経費をしっかり計上し、「所得」を下げて、払う税金を少なくしたい。
  • 【ローンのためには】→ 返済能力をアピールするため、「所得」を上げて、儲かっていることを見せたい。

この正反対の要求に応えるには、将来から逆算した計画が大切になります。

例えば、2年後に家を買う計画があるなら、今年は経費の使い方を少し調整して、所得を高く見せておく、といった判断も必要になります。もちろん、その分納税額は増えますが、それは夢を叶えるための「必要経費」と考えるわけです。

こうした計画はご自身だけでは判断が難しいことも多いので、大きな買い物を考えている場合は、ぜひお早めに税理士へご相談ください。

関連記事:「なんでも経費」は危険な誤解!個人事業主の経費の基本原則  |ほまれ税理士法人

住宅ローン審査で必要になる書類と「年収」の目安

住宅ローンの審査では、主に次のような書類の提出を求められることが一般的です。

  • 確定申告書の控え(2〜3年分) 【e-Taxで提出した場合】 申告データとセットで保存される「受信通知」が、正式な控えの証明になります。 【窓口・郵送で提出した場合】 受付印が廃止されたため、提出時に受け取る「収受事実の確認票」などを、申告書の控えと一緒に保管しておく必要があります。
  • 納税証明書(その1・その2) 所得金額と、税金をきちんと納めていることを証明する書類です。お住まいの地域を管轄する税務署で発行してもらえます。
  • 課税証明書など (銀行によって異なります)市区町村が発行する、所得や住民税額を証明する書類です。

借入できる金額の目安は、金融機関によって様々ですが、一般的に「年収(=所得)の5〜7倍」が一つの基準になります。

もちろん、これはあくまで目安です。実際には、事業の安定性や将来性、他の借入状況なども含めて総合的に判断されます。

表2:年収別・住宅ローン借入可能額の目安

年収(所得金額)借入可能額の目安(年収の6倍)
300万円1,800万円
400万円2,400万円
500万円3,000万円
600万円3,600万円
800万円4,800万円
1,000万円6,000万円

※上記はあくまで一般的な目安です。金利、返済期間、他の借入状況などにより、実際の借入可能額は変動します 。

2. 引っ越しや事務所移転で、賃貸物件を借りるとき

新しい家や事務所を借りるときの入居審査でも、「年収」は必ず聞かれます。大家さんや管理会社は、この金額であなたの家賃支払い能力を見ています。ここでもあなたの「所得」を年収として伝えましょう。

知っておきたい「家賃の36倍」ルール

不動産業界には、昔から「審査に通る家賃は、月収の3分の1まで」という、よく知られた目安があります。

これを年収に置き換えてみましょう。 つまり、借りたい物件の「月額家賃 × 36倍」以上の年収(=所得)があれば、「この人なら家賃をきちんと払ってくれそうだ」と判断されやすくなるわけです。

3. クレジットカードを申し込むとき

事業用のクレジットカードを作る際も、申込書には必ず「年収」を記入する欄があります。

申込書に書くべき「年収」とは?

ここでの考え方も、基本はローン審査と同じです。申込書に書くべきなのは、売上ではなく「所得」です。

ここでも、「所得金額+青色申告特別控除額」を年収として記入するのがおすすめです。その方が、あなたの事業が持つ本来の価値を、きちんと示すことにつながります。

4. 保育園の申し込みや、扶養の申請・各種手当の手続きをするとき

お子さんがいるご家庭では、保育園の申し込みや児童手当などの手続きで、所得を証明する場面が度々あります。

保育料に影響する「所得」と、信じてもらうための「就労証明書」

認可保育園の保育料は、世帯(多くは父母の合計)の所得を元に計算される前年度の住民税の金額で決まります。つまり、世帯の合計所得が多いほど、保育料も高くなるという仕組みです。

そして、入園審査で提出する「就労証明書」は、会社員と違って自分で書かなければなりません。どうしても会社が発行するものより信頼性が低く見られがちなので、「きちんと仕事をしている」ことを客観的に示すための工夫が大切になります。

例えば就労証明書とあわせて、次のような書類を提出するとその内容の信用度が増します。

  • 開業届の控え
  • 直近の確定申告書の控え
  • 主要な取引先との業務委託契約書のコピー
  • 事業内容がわかるウェブサイトのURLやポートフォリオなど

手当の申請で「所得」が問われる場面

ご家族に関わる手続きでも、「所得」が基準になる場面はたくさんあります。例えば、

  • 社会保険の扶養認定を受けるとき
  • 税金がお得になる「配偶者控除」を受けるとき
  • 「児童手当」など、国や自治体からの手当を申請するとき

ご自身の状況に合った制度を調べるためには、自治体の窓口やウェブサイトで情報収集するといいでしょう。 また、制度によっては要件が複雑な場合もあるので専門家(社会保険労務士、税理士など)に相談することもおすすめです。

補助金の申請で「知らなかった」では済まされない、虚偽申告

特に注意してほしいのが、補助金・助成金の申請です。「助成金をもらいたいから」といって、所得の金額を実際より多く見せる「嘘の申告」をしてしまうのは、絶対にNGです。これは、単なる「申告ミス」ではなく、法律で罰せられる、「犯罪行為」と見なされます。発覚した場合は、補助金の返還だけでなく、刑事罰(懲役や罰金)の対象となる可能性もある、非常に重い問題なのです。

5. 友人や親戚との会話で「年収、いくら?」と聞かれたら

これまでの公的な場面とは打って変わって、友人や親戚との会話で「年収いくら?」と聞かれるのは、本当に答えに困りますよね。ハッキリとした金額を言わずに曖昧に伝えた方が無難かもしれないですね。

なぜ、ひとことでは答えにくいのか?

会社員と違って、個人事業主が答えに詰まってしまうのには、こんな理由があります。

1. 年によって収入の波があるから

「去年は良かったけど、今年は…」というように、毎年金額が変わるので、「年収は〇〇万円です」と断言しにくいのです。

2. 「売上」と「所得」の差を説明するのが面倒だから

「売上がすごくても、手元に残るのは意外と少ない」という内情を、わざわざ説明するのは少し気が引けますよね。

3. やっぱり、お金の話はデリケートなので

親しい仲でも、お金の話が原因で関係がギクシャクするのは避けたいものです。相手の気持ちに配慮した答え方を心掛けるのも大切なコミュニケーションの一つかもしれないですね。

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開業1年目の壁——確定申告書がない場合の対処法

開業1年目の方が直面しがちなのが、この「1年目の壁」。まだ確定申告書が1枚もないため、収入を証明する公的な書類がなく、審査で不利になってしまう問題です。でも、ご安心ください。確定申告書がなくても、あなたの「支払い能力」や「信用」を他の方法でしっかりアピールすれば、大丈夫です。

具体的には、次の4点を準備しておくと良いでしょう。

1. 潤沢な預金残高を見せる  

家賃の1〜2年分など、十分な貯金があることを見せ、「お金の面では心配ありませんよ」という安心感を伝えるのが有効です。

2. 将来性のある事業計画書を提出する 

「これから、これだけ稼ぐ見込みです!」という、事業の明るい未来を具体的にアピールします。熱意も伝わる、大切な書類です。

3. 「開業届」の控えで、事業の実態を示す 

「思いつきではなく、きちんと届け出をして事業を営んでいます」という、社会的な信用を示せます。

4. 信用力の高い「連帯保証人」をお願いする

効果的な方法の一つです。収入が安定している親族などにお願いできれば、大家さんからの信用度はぐっと高まります

賃貸審査で「収入証明」として使える主な書類

開業2年目以降で、確定申告の実績がある方は、主に以下の書類を準備しておくとスムーズです。

  • 確定申告書の控え(収受事実の確認票またはe-Taxの受信通知が必須)
  • 課税証明書または所得証明書(市区町村役場で発行)
  • 納税証明書(税務署で発行)

あなたの「年収」を公的に証明する書類とその役割

個人事業主の年収を証明する公的な書類は、それぞれ証明できる内容が異なります。目的別に、主な書類を整理します。

1. 確定申告書の控え: 所得と事業内容の証明
1年間の売上・経費・所得など、事業全体の経営状況を証明する、基本となる書類です。 (※ e-Taxの「受信通知」や、書面提出時の「収受事実の確認票」とセットで効力を持ちます)

2. 課税証明書(または所得証明書): 所得と住民税額の証明
市区町村が発行し、前年の所得金額と、それに対して課税された住民税の金額を証明します。

3. 納税証明書: 納税事実の証明
税務署が発行し、申告した所得税などの国税を「実際に納付した」ということを証明します。

このように、①申告した内容(確定申告書)、②課税された事実(課税証明書)、③納税した事実(納税証明書)と、それぞれが証明する内容が異なります。そのため、提出先から複数の書類を求められることがあるのです。

【完全版】収入証明書類の取得方法まとめ

これらの書類は、いざ必要になった時に慌てないよう、どこでどのように取得できるかを事前に把握しておくことが重要です。

表3:収入証明書類の取得方法 完全ガイド

書類名証明内容発行場所押さえておきたいポイント
確定申告書の控え所得、売上、経費など事業全体の状況(自身で保管)公的な証明には、e-Taxの「受信通知」や、書面提出時の「収受事実の確認票」がセットで必要です。
課税(所得)証明書前年の所得金額と、それに対する住民税額市区町村の役所注意:その年の1月1日に住民票を置いていた市区町村でのみ発行可能です。
納税証明書所得税等の納税額、未納税額の有無所轄の税務署「納税額の証明用」「所得金額の証明用」など複数の種類があります。提出先に必要な種類を確認しましょう。
住民税決定通知書当該年度の住民税額、算定基礎となった所得額市区町村原則、再発行ができません。一度しか手に入らない貴重な書類なので、大切に保管しましょう。
支払調書年間の報酬支払額、源泉徴収税額取引先企業発行は取引先の義務ではありません。あくまで参考資料と考え、これ一枚での証明は難しいと考えましょう。

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虚偽申告の法的リスク|「バレなければ大丈夫」は通用しない

「少しぐらいなら大丈夫だろう」という軽い気持ちで行う嘘の申告は、あなたの事業生命を絶ちかねない、極めて危険な行為です。税理士として、その法的なリスクの重大さを、改めて強くお伝えします。

融資のための「嘘の申告書」は、詐欺罪にあたる可能性も

「銀行から融資を受けたいから」と、売上を多く見せかけたり、経費を少なくしたりした、事実と異なる確定申告書を提出したとします。

この行為は、「銀行をだまして、お金を不正に借りた」と判断され、刑法の「詐欺罪」として裁かれる可能性がある、非常に危険なものなのです。

もし発覚した場合、借りたお金を一度に全額返すよう求められるだけでなく、最悪の場合、「10年以下の懲役」という重い罰則が科されることも。

「バレなければ大丈夫」という考えは、あなたの人生そのものを壊しかねない、あまりに危険な考えなのです。

関連記事:確定申告の間違い、税務署から連絡はくる? ケース別対処法とペナルティを税理士が完全解説  |ほまれ税理士法人

所得を「少なく」見せる嘘。脱税と重加算税のリスク

これまでは「所得を多く見せる」リスクを解説しましたが、逆に、税金を安くするために所得を「少なく」見せるのも、もちろん虚偽申告です。

意図的に所得を少なく見せる行為は「脱税」と見なされ、税務調査で発覚した場合は、非常に重いペナルティが課せられます。それが、本来の税額に加えて最大40%もの税率が上乗せされる「重加算税(じゅうかさんぜい)」です。さらに、その手口が悪質だと判断されれば、詐欺罪などと同様に、刑事罰の対象となる可能性もゼロではありません。

【未来のために】「年収」をコントロールする考え方

これまでは、聞かれた「年収」にどう正しく答えるか、という視点でお話ししてきました。 最後は、一歩進んで、将来の夢を叶えるために、自分の「年収(=所得)」をどう計画していくか、という未来の話をします。

「今の節税」と「未来の信用」、どちらが大切?

本当の意味での「節税」とは、ただ税金を安くすることではありません。あなたの人生の目標(マイホーム、事業拡大、お子さんの教育など)から逆算して、今、どう動くべきかを考えることです。

例えば、数年以内に家を買うという大きな目標があるなら、今はあえて所得を高く申告して納税額を増やし、銀行からの信用を得る。これも立派な「未来への投資」と言えるのです。

あなたの5年後、10年後を見据え、いつ、いくらの「所得」が必要になるのかを計画し、それに合わせて今の経営を調整していく。それが、賢い個人事業主の「年収マネジメント」です。

関連記事:税理士をつける年収の目安は?判断基準と費用対効果を徹底解説 |ほまれ税理士法人

まとめ:正しい知識で、自信をもって「年収」を語れる個人事業主になろう

個人事業主にとって「年収」をどう語るかは単なる数字の話ではなく、あなたの「信用」を伝え、ビジネスの未来を切り拓くための、大切なコミュニケーションなのです。

この記事でお伝えした、一番大切なポイントを4つに絞って振り返ります。

1. あなたの「年収」は「所得」で語る。

青色申告なら、控除額を足し戻した金額が、あなたの本当の稼ぐ力です。

2. 「誰に」話すかで、伝え方を変える。

ローン審査では正直に、友人との会話ではやんわりと。その賢い使い分けが大切です。

3. 「書類」で、言葉を裏付ける。

公的な場面では、言葉だけでなく、確定申告書の控えなどの「公的な書類」が、あなたの信用を支えてくれます。

4. 「嘘」だけは、絶対につかない。

軽い気持ちの嘘が、ビジネスと人生を壊しかねない、一番のリスクだと知りましょう。

これらのポイントが、次に「年収は?」と聞かれたときの、あなたの助けになれば幸いです。

まずは一度、ご自身の確定申告書を引っ張り出して、そこに書かれた「所得」の数字を、じっくりと眺めてみることから始めてみませんか?

ほまれ税理士法人では、個人事業主・フリーランスの皆様の確定申告サポートから、戦略的な節税対策、法人化シミュレーションまで、事業の成長をトータルで支援しております。

「自分の場合はどう考えれば良い?」「将来のために、今から何をすべき?」といった個別のご相談も承っております。初回のご相談は無料ですので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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この記事を書いた人

税理士/近畿税理士会所属/税理士登録年2005年/登録番号102807/会計システムの開発エンジニアとしてキャリアをスタート。その後、大阪市内の税理士法人での勤務を経て2005年に税理士として登録し、個人事務所を開業。法人化などを経て、現在はほまれ税理士法人の代表を務める。 「後世に誇れる仕事をする」を理念に、これまで2,000社以上の顧問先を支援。企業のライフステージに合わせた総合的なコンサルティングを提供している。

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