税務調査とは?【完全ガイド】いつ来るか・流れ・対策を税理士が解説 

はじめに:「税務署から連絡が…」その時、慌てないための心構え

こんにちは!税理士の井上です。

「社長、税務署から連絡がありまして、近々調査にお伺いしたいとのことです」

税理士として、顧問先のお客様にこの一報を入れるとき、電話口の向こうで、社長が息を呑む気配を感じることがあります。そして、多くの方がこう続けます。

「先生、正直、不安です。何を準備すればいいんでしょう…?」と。

正しく申告していても、「税務調査」という言葉には、何か悪いことをしたかのように感じさせる、独特の重さがありますよね。そのお気持ち、よく分かります。
でも、最初に知っておいてください。税務調査は、決して「怖いもの」ではありません。
正しい知識を持って「準備」さえすれば、何も恐れる必要がない、国が定めたごく自然な手続きなんです。この記事は、その「準備」の全てをお伝えし、あなたの漠然とした不安をなくすために書きました。

この記事では、「そもそも税務調査とは?」という基本から、調査の対象になりやすいのはどんな人か、いつ頃来やすいのか、そして具体的な調査の流れや、万が一のペナルティまで解説します。
さらには、近年話題のAIを活用した最新の調査実態も含めて、あなたの全ての疑問に、この記事一本でお答えします。

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目次

そもそも、「税務調査」って何?基本を理解しよう

具体的な対策の前に、まずは「税務調査とは何か」という基本を知っておきましょう。本質を理解すれば漠然とした不安は消えていきます。

なぜ、税務調査は行われるのか?

日本の税金は、私たち国民が「今年はこれだけ儲かったので、これだけ税金を納めます」と、自分で計算して申告する仕組み(申告納税制度)になっています。

しかし、その自己申告が、本当に正しいかどうかを誰かがチェックしなければ、計算ミスや、悪意のある嘘の申告を見逃してしまいます。それでは不公平ですよね。

そこで、申告内容が正しいかを確認し、税の公平さを保つために行われるのが「税務調査」です。法人税や所得税だけでなく、消費税など、会社に関わるほぼ全ての税金が対象になります。

調査官は中立的な立場

調査官の目的はあなたを罰する為ではなく、事実確認をすることが目的ということを理解しておくことが、冷静に対応するための最初の一歩となります。

 税務調査は誰に来る?他人事ではない、その対象範囲

税務調査と聞くと、大きな会社だけの話だと思っていませんか? 実は、確定申告をしているすべての事業者が、その対象になる可能性があります。具体的には、次のような方々です。

  • 法人(株式会社・合同会社など) 会社の規模の大小に関係なく、すべての会社が対象です。
  • 個人事業主・フリーランス 法人と比べると調査に来られる確率は低いものの、もちろん対象になります。
  • 副業をしている会社員 「自分はサラリーマンだから関係ない」とは言えません。副業の所得が年20万円を超えるなど、確定申告をしている場合は、その申告内容について調査対象になることがあります。最近増えている、ブログやYouTubeでの広告収入、フリマアプリでの売上なども、もちろん例外ではありません。

「うちは小さいから大丈夫」「個人だから関係ない」という思い込みは、なくしましょう。事業の形や規模にかかわらず、誰にでも可能性はある、というのが大原則です。

 税務調査は「任意」と「強制」の2種類

税務調査への「怖い」というイメージは、実はこの2種類が混同されていることから生まれます。まずは、その違いをハッキリさせましょう。

1. 任意調査(ほとんど全ての税務調査)

会社や個人事業主に来るごく一般的な税務調査です。事前に税務署から「〇月〇日にお伺いします」と連絡があり、質問に答えたり、帳簿を見せたりする形で進みます。

「任意」という名前ですが、法律に基づく調査なので、正当な理由なく拒否することはできません。

2. 強制調査(マルサ)

ニュースやドラマで見る、国税局の査察部(マルサ)が、裁判所の許可状を持って、ある日突然やってくる調査です。

脱税額が1億円を超えるなど、極めて悪質で、大きな事件だけが対象です。これは税務調査というより、刑事事件の捜査に近いものです。

私たちが「税務調査」と呼ぶ99%以上は、こちらの「任意調査」です。ですから「マルサが来るかも…」と、過度に心配する必要はありません。

税務調査は、いつ頃、どれくらいの頻度で来るの?

「うちには、いつ調査が来るんだろう?」これは、経営者なら誰もが気になるところですよね。

調査の時期に法律上の決まりはありません。ただし税務署の年間スケジュールなどにより、調査が行われやすいシーズンというものが、実は存在します。

対象税務調査が入りやすい時期頻度の目安
法人(決算月が2月~5月)8月~11月頃3年~10年に1回
法人(決算月が6月~翌1月)4月~6月頃3年~10年に1回
個人事業主4月~5月頃、7月~8月頃5年~10年に1回
個人(相続税)申告書提出から1~2年後の8月~11月頃5年以内に1回あるかないか

 なぜ、この時期に調査が多いのか?

  • 個人事業主の場合 3月の確定申告が終わった後、春から夏にかけて申告内容のチェックが本格化するためです。
  • 法人の場合 7月に税務署の人事異動があるため、その後の新体制で調査が始まる秋が、一番の調査シーズンになります。

頻度については、あくまで一般的な目安です。事業が順調に成長している会社ほど、調査の間隔は短くなる傾向にある、と言えるでしょう。

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【要注意】税務調査の対象となりやすい10の特徴

税務調査の対象は、ランダムではなく、国税庁のAIなどが「申告漏れの可能性が高い」と判断した事業者から、効率的に選ばれています。

以下の項目に複数当てはまる場合は、調査対象としてリストアップされる可能性が高まるため、注意しましょう。

1. 売上や利益が、急に、または大きく変動している 

「なぜ、こんなに急に伸びた(減った)んだろう?」と、その理由を確認するために調査の対象になりやすいです。

2. 売上が、毎年1,000万円の少し手前で止まっている 

「消費税を払いたくないから、売上を少なくごまかしているのでは?」と疑われる、典型的なパターンです。

3. 利益率が、同業他社と比べて不自然に低い(または高い)

 国税庁が持つ平均データと大きく違う場合、「売上を隠したり、経費を水増ししたりしているのでは?」と見なされる原因になります。

4. 現金のやり取りが多い事業(飲食、美容、建設など)

 お金の流れが追いづらく、売上のごまかしが起きやすいと見なされるため、昔から調査の重点ターゲットとされています。

5. 国税庁が今、特に注目している事業(ITコンサル、ネット広告など)

 新しく急成長しているビジネスモデルは、税のルール作りが追いついていないこともあり、重点的にチェックされる可能性があります。

6. 海外の会社との取引が多い

 海外の会社との取引は、日本の税金が安くなるように、利益操作したのではないか?と見做されるため、調査が厳しくなる傾向にあります。

7. 長い間、一度も税務調査が来ていない 

税の公平性を保つため、定期的なチェックとして選ばれることがあります。

関連記事:「税務調査が10年以上来ない」は安全の証か?個人の税務調査の真実

8. そもそも確定申告をしていない(無申告) 

最も調査に入られやすいケースです。税務署は、あなたの取引先が提出した書類などから、あなたの収入を把握しています。

9. 経費の中に、プライベートな支出が混ざっていそう 

売上に対して、交際費や旅費交通費が多すぎるなど、不自然な経費計上だと見做されると「社長の個人的な遊び代では?」と疑われ、調査対象となるケースがあります。

10. 顧問税理士がついていない 

税理士の署名がない申告書は、単純な計算ミスや、意図的な不正が起こる可能性が高いと判断されがちです。

かつては調査官の「勘」に頼っていたこれらの判断も、今やAIが分析をしています。「バレなければ大丈夫」という安易な考えは通用しません。

関連記事:税務調査は売上いくらから?「1,000万円」が基準と言われる理由

税務調査の全貌:事前通知から結果報告までの流れ

税務調査がどのような手順で進むのかを知っておくことは、不安を和らげ、落ち着いて準備するための第一歩です。一般的な「任意調査」の流れを、6つのステップで見ていきましょう。

Step 1:税務署から、一本の電話がかかってくる

任意調査の場合、突然調査官がやって来る可能性は低いです。ただし、例えば飲食業などの現金商売の場合は、突然来られるケースがあります。しかし多くの場合は調査日の2〜3週間ほど前に、税務署から電話で「〇月〇日に、調査にお伺いしてもよろしいでしょうか?」と、事前連絡があります。

(※顧問税理士がいる場合は、あなたではなく、その税理士に直接連絡が入ります)

この電話で、調査の日時や目的、対象となる税金の種類(法人税など)、対象期間(通常は過去3年分)などが伝えられます。慌てず、調査官の名前や連絡先、伝えられた内容を、正確にメモしておきましょう。

Step 2:調査日程を、落ち着いて調整する

税務署が提示した日時は、あくまで「お願い」です。仕事の都合などで難しい場合は、日程の変更をお願いしても全く問題ありません。

コツとしては、「その場で即答しないこと」。焦って日程を決め、準備不足で当日を迎えるのは悪手です。「税理士と相談して、折り返しご連絡します」と伝え、最低でも3週間ほどの準備期間を確保するのが、賢い対応です。

関連記事:税務調査の時間は平均2日間? 【全貌】期間・1日の流れ・早く終わらせる5つの方法

Step 3:当日までに「書類」と「場所」を準備する

日程が決まったら、当日までに万全の準備を整えます。

準備するもの①:書類一式(過去3年分が基本) 

帳簿や確定申告書はもちろん、請求書、領収書、契約書、預金通帳など、申告の根拠となるあらゆる書類を、いつでも見せられるように整理しておきましょう。 (※もし、この準備段階でミスが見つかったら、調査前に自主的に修正申告をすれば、ペナルティが軽くなることもあります)

準備するもの②:調査のための環境 

調査官が使う応接室などをきれいに片付けておきましょう。関係のない書類や私物は、誤解を招かないように、別の場所に移しておくと安心です。

関連記事:税務調査は過去何年分?原則「3年」、最大「7年」の法則を解説します

Step 4:調査当日(1〜2日間)の心構え

実地調査は、通常1〜2日間で行われます。

午前中:世間話も交えた、事業内容のヒアリング 

いきなり帳簿を見るのではなく、まずは社長であるあなたに「どんな事業をされているのですか?」といった、雑談のような質問から入るのが一般的です。ただし、これは単なる雑談ではなく、調査官があなたのビジネスの全体像を理解するための、重要な時間です。

午後:本格的な帳簿のチェック 

午後からは、準備した書類と、実際の請求書や通帳の記録などを照らし合わせる、本格的な調査が始まります。

調査官からの質問には、「聞かれたことにだけ、正直に、簡潔に答える」のが鉄則です。分からないことを、憶測で話す必要はありません。「確認して、後日お答えします」と伝え、正確な事実だけを話すようにしましょう。

Step 5:指摘事項についての、税務署とのやり取り

実地調査が終わっても、調査はまだ続きます。後日、調査官から追加の質問や、申告内容についての間違いの指摘などがあれば、電話や書面で連絡が来ます。

この指摘に対して、こちらの言い分を説明したり、法的な解釈について話し合ったりするのが、この段階です。(顧問税理士がいれば、この交渉は全て任せることができます)

Step 6:最終的な「結果通知」を受け取る

すべてのやり取りが終わると、最終的な結果が、主に次の3つのどれかで通知されます。

  1. 申告是認(しんこくぜにん): 「全く問題ありませんでした」という、一番良い結果です。
  2. 修正申告(しゅうせいしんこく): 税務署の指摘を受け入れ、「すみません、間違っていました」と、自分から申告をやり直し、追加の税金を納める、最も一般的な決着方法です。
  3. 更正(こうせい): 指摘に納得できず、修正申告をしない場合に、税務署側が強制的に税額を決定・通知してくる処分です。

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調査官は何を見る?税務調査で特にチェックされやすいポイント

税務調査官は、申告書が正しいかどうかを、様々な角度からチェックします。調査官が特にどんな点に注目するのかをあらかじめ知っておくことが、効果的な対策の第一歩です。ここでは、特に厳しく見られがちな主な項目を解説します。

1. 売上に関するポイント(売上隠しや、ごまかしがないか)

税務調査で最も大切に見られるのが「売上」です。調査官は、まず「売上が、意図的に少なく計上されていないか」を徹底的にチェックします。

  • 現金の売上:レジの記録と、実際の銀行入金額が合っているか。
  • 細かな収入:作業くずの売却代金や、自動販売機の収入などが、きちんと計上されているか。
  • 期末の売上操作:決算日ギリギリの売上を、わざと翌年の売上にしていないか。(これを「期ずれ」と言い、利益を少なく見せるための代表的な手口と見なされます)

2. 仕入・外注費に関するポイント(架空の経費がないか)

売上と同じくらい、重点的に見られるのが仕入や外注費です。

  • 架空の仕入・外注費:「本当に、その取引はあったのか?」という視点で、請求書や支払い記録を細かく確認。時には、取引先の会社に直接確認(反面調査)することもあります。
  • 期末の仕入:年末に駆け込みで計上した仕入が、翌年の売上のためのものではないか、という点もチェックされます。

3. 人件費・役員報酬が、不自然に高くないか

人件費は金額が大きいため、チェックされやすい項目です。

  • 架空の人件費:実際に働いていない家族や知人に給料を払う「架空人件費」がないか。タイムカードなどの客観的な記録と照らし合わせます。
  • 役員報酬の妥当性:会社の規模や利益と比べて、社長の給料があまりに高すぎないか。役員報酬の金額を変える際には、ルール通りに株主総会の議事録が作られているか、なども見られます。

4. 経費に、プライベートな支出が混ざっていないか

特に、社長一人の会社や個人事業主の場合、調査官は「公私混同」に目を光らせています。

  • 交際費など

家族との食事が「接待費」になっていないか、など。領収書に参加者や目的のメモがあるかも、細かく見られるポイントです。

  • 家事按分

自宅兼事務所の家賃などを経費にする「家事按分」の割合や、その計算根拠が、客観的に見て合理的かどうかが問われます。

5. 在庫(棚卸資産)の金額が、正しく計上されているか

年末の在庫の金額を操作すると、利益をごまかすことができてしまうため、ここも注意深くチェックされます。

  • 数量のごまかし

年末の在庫をわざと少なく数えて、売上原価(仕入額)を不当に多く見せていないか

  • 評価方法

在庫の金額を計算する方法が、税法のルール通りか

調査官が、実際に倉庫へ在庫の数を確認しに来ることもあります。

【個人事業主のギモン】自宅兼事務所、調査ではどこまで見られる?

自宅で仕事をしていると、「プライベートな空間まで全部見られるのでは?」と不安になりますよね。

結論から言うと、「事業に関係するもの」は、たとえ寝室のクローゼットの中にあっても、すべて調査の対象となります。なぜなら、調査官には、申告内容が正しいかを確かめるために、必要な資料を確認する法律上の権限があるからです。

具体的に、調査官がチェックするのは、次のような場所やモノです。

  • 仕事部屋や作業スペース 

もちろん、最も基本となるチェック対象です。

  • パソコンの中のデータ 

会計ソフトのデータはもちろん、取引先とのメールなども、申告の裏付け資料として確認されます。

  • 事業の書類を保管している場所 

たとえ寝室であっても、そこに契約書や領収書があれば、確認の対象になります。

  • 個人名義の通帳やカード 

「プライベート用だから」という理由は通用しません。「売上が隠れていないか」などを確認するため、提示を求められることがあります。

【ポイント】調査の境界線は「場所」ではなく、「事業との関連性」

ここで、一番大切なポイントをお伝えします。

あなたの趣味のコレクションや家族の私物など、事業に全く関係のないものを見せる必要はもちろんありません。またその義務もありません。

しかし、例えば調査官から「この引き出しに、事業の資料はありませんか?」と聞かれた際にもし本当にそこにあるなら、「ありません」と嘘をつくことはできません。

ですから、一番賢い準備は、調査当日にあらかじめ仕事関係の書類や帳簿を一つの場所にまとめておくことです。

そうすれば、調査官も余計な場所に立ち入る必要がなくなり、あなたのプライバシーを守りつつ、調査に誠実に対応するという最もスムーズな形で一日を終えることができるでしょう。

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もし申告漏れが見つかったら?ペナルティとしての「追徴課税」

税務調査で申告内容の間違いを指摘された場合、本来納めるべきだった税金に加えて、ペナルティとしての「追徴課税(ついちょうかぜい)」を追加で支払う必要があります。

この追徴課税は、①ペナルティ本体である「加算税」と、②利息にあたる「延滞税」の2つで構成されています。

ペナルティの重さは「うっかりミス」か「意図的な不正」かで大違い

「加算税」にはいくつか種類があり、その税率はただの間違いか、意図的な不正(仮装・隠蔽)かで大きく変わります。

【加算税の種類と税率(主なもの)】

加算税の種類どんな時に課される?税率
過少申告加算税申告はしたが、金額が少なかった(うっかりミスなど)10%15%
無申告加算税そもそも申告自体をしていなかった15%~20%
重加算税帳簿を改ざんするなど、悪質な不正(所得隠し)があった35%40%

この中で最も重いのが、「重加算税(じゅうかさんぜい)」です。

例えば、100万円の申告漏れがあった場合、

  • うっかりミスなら、ペナルティは 10万円(10%)
  • 悪質な所得隠しなら、ペナルティは 35万円(35%) と、納税の額が3倍以上に跳ね上がります。

 さらに、利息としての「延滞税」もかかる

上記のペナルティ(加算税)に加えて、本来の納税期限から、実際に支払う日までの日数に応じた利息として、「延滞税」もかかります。納付が遅れるほど、支払う総額は雪だるま式に増えていきます。

追徴課税は、原則として現金で一括払いです。
もし一括での支払いが難しい場合は、早めに税務署へ相談しましょう。

 支払いは「現金一括・1ヶ月以内」が鉄則

税務署から通知が来たら、追加の税金は、原則として通知から1ヶ月以内に、現金で一括で納める必要があります。

分割払いは、基本的にはできません。ただし、どうしても一度に払うのが難しい場合は税務署に相談しましょう。分割などの『納税の猶予』が認められることもあります。


【みんな知らない?】AIが、あなたの申告書をチェックしているという現実

「税務調査は、ベテラン調査官の『勘』で決まる」…そんな時代は、もう過去の話です。

今の税務調査を理解する上で絶対に欠かせないのが、国税庁が進めるDX(デジタル化)と、その主役であるAI(人工知能)の存在です。この最先端の現実を知ることが、調査対策につながります。

AIは、どうやって調査対象を選んでいるのか?

国税庁のAIは、過去の膨大な申告データや、不正が見つかった事例のパターンなどを、すべて学習済みです。

そして、あなたが提出した確定申告書と、その学習データを照らし合わせ、「この申告書は、過去に不正が見つかったパターンと似ている」「同業他社と比べて、経費の割合が不自然だ」といった会社を、自動でリストアップしているのです。

AIの導入で、調査は「少数精鋭」に

AIによる事前スクリーニングのおかげで、税務署は、より少ない人数で、より的確に「間違いの可能性が高い」会社を選べるようになりました。

事実、税務調査の件数自体は減っているのに、1件あたりの追加納税額は、むしろ増えているというデータもあります。これは、AIによって調査の「的中率」が、格段に上がっている証拠です。

この現実が意味するところは、税務調査はもはや「運悪く、たまたま選ばれる」ものではないということです。
申告内容に、AIが検知するリスク(前の章で解説した「10の特徴」など)があれば、それは確率の問題ではなく、明確な根拠に基づいて、合理的に選ばれているのだ、と考えておきましょう。

 国税庁が、今とくに「注目している」3つの分野

AIによる分析も活用しながら、国税庁は特に、次の3つの分野に力を入れて調査を行っています。

1. そもそも申告していない「無申告」

申告の義務があるのに申告していない、いわゆる「無申告」の人を見つけることに、最も力を入れています。

2. 富裕層の「海外資産」や「海外取引」

海外にお金や資産を移して、日本の税金を不当に安くしようとする行為(租税回避)は、常に厳しくチェックされています。

3. ネットを使った「新しいビジネス」

YouTubeや暗号資産(仮想通貨)、シェアリングエコノミーといった、お金の流れが複雑で、実態を掴みにくい新しいビジネスも、調査が増えている分野です。

もし、あなたの事業がこれらの分野に当てはまる場合は、「税務署から、より注目されやすい立場にある」と自覚し、根拠資料などを確実に保存しておきましょう。

【知っておくべき】税務調査が、あなたの「取引先」にまでやって来る、反面調査とは?

税務調査には、自社だけでなく、あなたの取引先にまで調査が及ぶ「反面調査(はんめんちょうさ)」という手法があります。

これは、あなたの会社の申告内容が正しいかどうかを確かめるために、取引先の会社(B社)に対し、「A社(あなた)との取引は、本当にありましたか?」と、裏付けを取るために行われる調査です。

 どんな時に「反面調査」は行われるのか?

反面調査は、あなたの会社に対する調査が、以下のような状況で行き詰まった時に行われます。

  1. 「証拠」が足りない時 帳簿や請求書・領収書などがなく、取引の事実が確認できない場合。
  2. 「態度」に問題がある時 資料の提出を拒むなど、調査に協力しない場合。
  3. 「不正」が、強く疑われる時 架空の経費を計上しているなど、悪質な不正の証拠を固めるために行われます。

反面調査は取引先に事前連絡なく、ある日突然行われるのが一般的です。
これは、あなたと取引先が口裏を合わせるのを防ぐためです。

反面調査が、あなたのビジネスに与える影響

反面調査の最も怖い点は、あなた自身の問題が、大切な取引先にまで及んでしまうことです。

取引先からすれば、「A社(あなた)と取引していたせいで、うちにも税務署が来た。何か問題のある会社なのかもしれない…」と、不信感を抱かれるかもしれません。これが原因で、その後の取引が気まずくなったり、最悪の場合、取引を打ち切られたりする可能性もゼロではありません。

一番の対策は「反面調査をさせない」こと

一番の対策は、そもそも反面調査が必要ないくらい、自社の帳簿や書類を完璧に整えておくことです。
あなたの会社の帳簿だけで、全ての取引がきちんと説明できれば、調査官も、わざわざ取引先にまで確認しに行く必要がなくなるのです。

 もし調査が入ってしまったら?誠実な対応が鍵

万が一、取引先に反面調査が入ったと知った場合は、後から気まずくなるより、正直に事情を話し、迷惑をかけたことを丁寧にお詫びしましょう。(調査官から「この件は言わないように」と口止めされても、法的な強制力はありません)

日々の丁寧な経理は、税金のためだけでなく、あなたのビジネスを支えてくれる取引先との「信頼関係」を守るための、最高の危機管理(リスクマネジメント)なのです。

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【結論】税務調査、一番の対策は「良い税理士」を味方につけること

ここまで税務調査の様々な対策を解説してきましたが、「これを、全部一人でやるのか…」と、少し途方に暮れてしまった方がおられるかもしれません。

ご安心ください。実はこれら全てを解決するシンプルで効果的な方法があります。

それは「信頼できる税理士と、日頃からパートナーシップを組んでおく」ことです。専門家的見地から強くお勧めします。


税理士という専門家が味方にいれば、税務調査という「守り」の局面で安心なのはもちろんのこと、日々の経営における節税や資金繰りといった「攻め」の局面でも、的確なアドバイスを得られ、あなたのビジネスの成長を後押ししてくれるでしょう。

税務調査への一番の備えは、日頃から何でも相談できるパートナーと共に、盤石な経営体制を築いておくことなのです。調査の時だけ慌てて対策することはおすすめできません。


私たちほまれ税理士法人も、「何でも相談できるパートナー」としてお客様の盤石な経営体制づくりを日頃からご支援したいと考えております。

税務調査はもちろん、日々の経営で少しでも不安なことがあれば、いつでもお気軽にお声がけください。あなたのビジネスの一番の味方として、私たちにお手伝いをさせてください。


顧問税理士がいると、なぜ税務調査が来にくくなる?

顧問税理士がいると、調査の確率が下がると言われる理由は次の通りです。

申告書の「信頼度」が、格段にアップするから

税理士の署名がある申告書は、「税金のプロが、内容をチェック済みです」というお墨付きが押されているのと同じです。そのため、税務署も「単純なミスは少ないだろう」と判断し、調査対象として選ばれる優先順位が自然と下がるのです。

【費用対効果】税理士の顧問料は、本当に「高い」のか?

「税理士の顧問料は高い…」そう感じるかもしれません。 では、もし税務調査が来た場合のリスクと比較したら、どうでしょうか? 3つの状況で、具体的に見ていきましょう。

状況税理士費用(相場)追徴課税額(概算例:申告漏れ300万円)総合コスト
A:顧問税理士あり・問題なし年間36万円~(月3万円~)0円36万円~
B:調査時にスポット依頼・軽微な修正15万円~30万円(準備・立会・修正申告)45万円(本税30万円+過少申告加算税3万円+延滞税等)60万円~75万円
C:税理士なし・重加算税0円145万円(本税30万円+重加算税10.5万円+延滞税等)※あくまで一例です145万円

この比較が示す通り、もしもの時に一番高くつくのは、「税理士がいない」場合ということもあります。

税理士の顧問料は単なる「コスト」ではなく、将来の予期せぬ損失を防ぐための「保険」であり、会社の成長を後押しする「投資」なのです。

数字には表れない、時間や心の負担まで考えれば、その価値は大いにあると考えられます。

「 守り」だけじゃない。税理士を「攻め」の経営パートナーにする方法

税務調査への対策は、いわば「守り」の作業です。しかし、本当に良い税理士は、あなたの会社の「攻め」の力にもなってくれます。

会社の数字を一番よく知るパートナーとして、次のような「攻め」のサポートが期待できます。

  1. 未来の利益を増やす「戦略的な節税」 

ただ税金を安くするだけでなく、会社の成長計画に合わせた、未来への投資につながる節税策を提案してくれます。

  1. お金の流れを良くする「資金繰り・融資」の相談 

銀行が「なるほど」と納得するような資料作りを手伝い、会社の資金調達をサポートしてくれます。

  1. 会社の健康状態がわかる「経営アドバイス」 

毎月の数字から、「今、ここに手を打つべきです」といった、経営のヒントをくれる、最も身近な相談相手になります。

このように、信頼できる税理士を味方につけることは、会社の「守り」を固めると同時に、「攻め」の力を加速させることにつながります。

それは会社の土台を固め、未来への成長を図るための賢い選択と言えるでしょう。

まとめ:税務調査は正しい「知識」と日々の「準備」で、怖くなくなる

この記事でお伝えしてきた、大切なポイントを最後に振り返ります。

  • 税務調査は、特別な出来事ではない。 

事業をしていれば、誰にでも来る可能性がある「通常イベント」です。

  • 「知らないこと」が、不安の正体。 

正しい知識で準備すれば、必要以上に怖がることはありません。

  • 最高の対策は、信頼できる税理士を味方につけること。 

日々の安心と、いざという時の交渉まで、専門家がサポートします。

税務調査は、「申告内容の答え合わせ」です。

日頃から、なぜその数字になるのかという根拠をきちんと整理し、いつでも相談できる専門家がそばにいれば、何も心配することはありません。

「いつ来るか分からない」という漠然とした不安を、「いつ来ても大丈夫」という安心感に変える。

私たちほまれ税理士法人は、まさにその「いつでも相談できる専門家」として、あなたのビジネスに寄り添いたいと願っています。税務調査はもちろん、日々の経営に関するどんな小さな不安でも、いつでもお気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

税理士/近畿税理士会所属/税理士登録年2005年/登録番号102807/会計システムの開発エンジニアとしてキャリアをスタート。その後、大阪市内の税理士法人での勤務を経て2005年に税理士として登録し、個人事務所を開業。法人化などを経て、現在はほまれ税理士法人の代表を務める。 「後世に誇れる仕事をする」を理念に、これまで2,000社以上の顧問先を支援。企業のライフステージに合わせた総合的なコンサルティングを提供している。

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