こんにちは!税理士の井上です。
現代では、会社員として働きながら自分の事業を持つ人が増えています。 そうした中で「会社を作って法人化したいけれど、会社にバレたらどうしよう…」と不安に思う人もいるのではないでしょうか。本業にどう影響するのか、会社のルールに違反しないか、心配になりますよね。
この記事では、会社を設立したことが勤務先にバレてしまう可能性のあるパターンと、その対策を税理士が徹底的に解説します。国税庁のデータや法律に基づいた、正確で信頼できる情報だけをお届けしますのでご安心ください。
この記事を最後まで読めば、会社設立にどんなリスクがあるのかを正確に理解し、安心して自分のビジネスを進めるための具体的な方法がわかります。ぜひ参考にしてください。
関連記事:【税理士が解説】会社設立の法的な流れと、失敗しないための重要ポイント |ほまれ税理士法人
結論:会社設立の手続き自体でバレることはないが、税金・社会保険で発覚する
結論からお伝えすると、会社を設立する手続きそのもので、会社にバレることはありません。会社のルールブックである「定款」を作ったり、法務局に登記申請をしたりする手続きでは、勤務先に連絡がいくことは一切ないからです。法務局が勤務先にあなたの情報を確認することもありませんので、ご安心ください。
しかし、本当に注意すべきは、会社を作った後の「税金」と「社会保険」の手続きです。日本の行政システムでは、個人の収入に関する情報が自動的に集約され、あなたの会社に通知される仕組みになっています。この仕組みを理解して対策をしないと、意図せず会社にバレてしまう可能性があるのです。
会社を作る手続きで、会社にバレることはありません
会社の設立は、次のような流れで進められます。
- 会社のルールブックである「定款」を作る
- 会社の元手となる「資本金」を用意する
- 法務局に「登記申請」をする
これらの手続きで、あなたの勤務先を教える必要はありませんし、法務局が勤務先に連絡することもありません。そのため、会社を設立したからといって、すぐに会社にバレることはないのでご安心ください。
会社を設立したことが会社にバレてしまう主な原因は、実は「住民税」と「社会保険」の2つです。
住民税や社会保険は、複数の会社から給料をもらっている場合、あなたのメインの会社(本業の会社)に情報がまとまって届く仕組みになっています。
- 住民税 市区町村が、本業の会社とあなたの会社から受け取る給料を合計して住民税の額を計算し、本業の会社に「この金額を給料から天引きしてください」と通知します。
- 社会保険 年金事務所が、両方の会社からの給料を合計して社会保険料を計算し、その結果を本業の会社にも通知します。
これらの通知が本業の会社の経理担当者に届くと、「うちが払っている給料のわりに、なぜか税金や社会保険料が高い」と気づかれ、副業が発覚してしまうのです。
次の章では、この仕組みを詳しく解説し、バレないための具体的な対策をお伝えします。
会社設立がバレる7つの原因と税理士が教える対策
会社設立が勤務先にバレる原因はたくさんありますが、そのほとんどは対策可能です。ここでは、特に注意すべき7つの原因と、それぞれの対策を税理士が解説します。
原因①:住民税の特別徴収通知書【バレやすいパターン】
会社員の場合、住民税が原因でバレてしまうことが最も多いです。これは、「特別徴収」という住民税の納付方法が関係しています。
なぜ住民税でバレるのか? 特別徴収の仕組み
会社員は、毎月の給料から住民税が天引きされます。これを「特別徴収」といいます。法律で、会社が従業員の代わりに住民税を納めることが義務付けられているためです。
複数の会社から給料をもらっている場合、市区町村はすべての給料を合計して住民税の額を計算します。そして、あなたのメインの会社に「特別徴収税額の決定通知書」という書類を送ります。
この通知書には、あなたの住民税の合計額が書かれています。すると、会社の経理担当者は「うちの会社が払っている給料の額に対して、住民税が高すぎるぞ?」と気づき、あなたが他に収入を得ていることがバレてしまうのです。
勤務先への通知は、あなたのすべての収入を合計した住民税額に基づいて行われます。
結果として、会社の経理担当者は「特別徴収税額の決定通知書」を見て、自社の給料から計算される住民税額よりもはるかに高い金額に気づきます。これによって「この従業員は、他に収入があるな」と、副業をしている事実が明らかになってしまうのです。
原因②:社会保険の二以上事業所勤務届【役員報酬を得る場合の壁】
住民税と同じくらい会社にバレるリスクが高いのが社会保険(健康保険・厚生年金保険)です。自分で作った会社から役員報酬をもらい、その会社でも社会保険に入ると、ある手続きが原因で会社にバレてしまいます。
なぜ社会保険でバレるのか?複数の会社で働く場合の仕組み
健康保険や厚生年金保険のルールでは、2つ以上の会社で社会保険に加入する場合、「二以上事業所勤務届」という書類を年金事務所に提出することが義務付けられています。
この届出を提出すると、年金事務所はあなたの本業の会社と、自分で作った会社の両方から受け取る報酬を合計して、社会保険料を計算します。そして、その結果を記載した書類が、両方の会社に送られます。この書類には、複数の会社の情報が書かれているため、あなたの会社はもう一つの会社の存在を確実に知ることになります。
関連記事:【税理士が徹底解説】会社設立の必要書類ガイド|登記から税務手続きまで |ほまれ税理士法人
対策①:役員報酬をゼロにする
社会保険経由でバレるのを防ぐ一番確実な方法は、自分で作った会社で社会保険に加入しないことです。そのためには、役員報酬をゼロに設定しましょう。報酬がなければ、社会保険の加入義務は発生しません。
対策②:代表取締役を配偶者や親族にする
もう一つの対策は、代表取締役を配偶者や親族など、信頼できる人に任せる方法です。あなた自身は役員報酬を受け取らない取締役や株主として会社に関わります。
こうすることで、あなたと会社との間に社会保険上の関係がなくなるため、「二以上事業所勤務届」を提出する必要がなくなります。ただし、この方法は経営の責任や権限が複雑になるため、事前に家族間で十分に話し合い、役割を明確にしておくことが大切です。
原因③:法人情報が公開されている【ネット検索で発覚】
会社を設立すると、その情報は法的に公開され、誰でも見ることができます。そのため、インターネットの検索などから勤務先にバレてしまう可能性があります。国税庁の「法人番号公表サイト」では、会社の基本的な情報が誰でも調べられます。また、法務局で手数料を払えば「登記事項証明書」を取得でき、そこには代表者の氏名や住所が記載されています。
会社の同僚があなたの名前や特徴的な会社名を検索した場合、これらの公開情報から会社を設立したことがバレるかもしれません。特に、自宅を会社の住所にしていると、個人の情報が特定されるリスクが高まります。
対策
- バーチャルオフィスを利用する:自宅の住所を公開しないために、登記が可能なバーチャルオフィスやシェアオフィスを会社の住所として利用するのが有効です。
- 会社名を工夫する:個人名が連想されにくい、一般的な会社名にするなどの工夫も大切です。
原因④:同僚・知人からの口コミ【人的要因】
信頼している同僚や友人に会社設立の話をしたら、意図せずその話が広まってしまうことは少なくありません。あなたの話を聞いた誰かが、嫉妬や会社への正義感から、勤務先に情報を伝えてしまう可能性もゼロではありません。
対策
最も確実な対策は、会社設立や副業について、勤務先の人には一切話さないことです。事業が軌道に乗るまでは、徹底して秘密を守る覚悟が必要です。
原因⑤:事業活動中の連絡【取引先・金融機関から】
会社の事業が始まると、金融機関からの連絡や取引先とのやり取りが日中に発生することがあります。本業の勤務中に頻繁に個人の携帯に連絡があると、周りから怪しまれるかもしれません。
対策
- 連絡手段を限定する取引先との連絡は、基本的にメールやビジネスチャットツールに限定しましょう。もし電話が必要な場合は、本業の休憩時間など、時間を指定してもらうように依頼すると良いです。
- 会社の電話番号を用意するIP電話サービスなどを利用して会社の電話番号を取得し、留守番電話機能を活用するのも有効な手段です。
原因⑥:ライフスタイルの急な変化【羽振りの良さ】
副業で収入が増えると、つい生活レベルを上げてしまいがちです。給料に見合わない高級なものを身につけたり、頻繁に海外旅行に行ったりすると、周囲から「何か別の収入があるのでは?」と怪しまれる原因になります。
対策
普段通りに振る舞う
勤務先では、これまでと同じ生活スタイルを保つように心がけましょう。SNSに派手な暮らしぶりを投稿するのも控えるべきです。副業で得たお金は、事業への再投資や貯蓄に回すなど、堅実な姿勢を保つことが大切です。
原因⑦:マイナンバー提出による発覚リスクは?【税理士の結論】
「会社にマイナンバーを提出したから、副業も全部バレるのでは?」と心配する人がいますが、これは間違いです。
税理士の結論
マイナンバーは、税務署や市区町村、年金事務所が個人の収入や社会保険の情報を正しく管理するために使われます。しかし、勤務先があなたのマイナンバーを使って、あなたのすべての所得情報を調べることはできません。
情報は、あなたが給与をもらっている会社から行政機関に一方的に流れるだけで、行政機関からあなたの会社に個人的な所得情報が伝えられることはありません。
会社に副業がバレるのは、マイナンバーによって正確に集計された住民税や社会保険料の結果が、会社の通知書に記載されるためです。つまり、マイナンバー制度そのものが直接的な原因ではないので、ご安心ください。
そもそも会社の副業禁止規定は有効?法律と裁判例から解説
会社を設立したことが勤務先にバレるのを恐れるのは、会社の「副業禁止規定」に違反してしまうかもしれないと考えるからでしょう。しかし、そもそも会社の副業禁止は、法的にどこまで認められるのでしょうか?法律や過去の裁判の事例から解説します。
法律上、副業は原則として自由
日本の法律には、会社員の副業を一律に禁止する規定はありません。むしろ、日本国憲法第22条では「職業選択の自由」が保障されており、会社が終わった後の時間をどう使うかは個人の自由だと考えられています。
労働基準法にも副業を禁止する条文はなく、政府も「働き方改革」の一環として、副業を推奨しています。厚生労働省が公開している「モデル就業規則」も、2018年には「許可なく他の会社で働いてはいけない」という規定を削除し、「労働者は、勤務時間外に他の会社で働くことができる」という新しい条文を追加しました。
ただし、副業禁止が有効となる4つのケース
会社が就業規則で副業を一切禁止できないわけではありません。過去の裁判の事例を見ると、以下のような合理的な理由がある場合に限り、副業の禁止や制限が認められる傾向にあります。
- 本業に支障が出る場合
副業の疲れで、本業での遅刻や欠勤が増えたり、仕事の効率が著しく下がったりする場合です。
- 会社の秘密が漏れる場合
副業を通じて、本業の会社の機密情報やノウハウが外部に漏れるリスクがある場合です。
- 会社の信用や名誉を傷つける場合
反社会的な活動をしたり、本業の会社の評判を著しく貶めるような副業を行う場合です。
- 本業の会社の利益を損なう場合
本業と直接競合する事業を始め、本業の会社の利益を不当に害する場合です。
これらのケースに当てはまらない限り会社が一方的に副業を禁止し、そのことを理由に罰則を与えることは、「権利の濫用」として無効になる可能性が高いです。
裁判例から見る「バレても解雇されない」ライン
副業がバレてしまった場合、会社からクビにされるかどうかは、過去の裁判の事例(判例)を見ると分かります。これらの事例を知ることで、どの程度の副業ならリスクが低いかを具体的に理解できます。
副業を理由とした懲戒解雇に関する主要な裁判例
| 事件名 | 副業の内容 | 裁判所の判断 | 判断のポイント |
| 小川建設事件 (東京地裁 昭和57年) | 終業後、毎日6時間キャバレーで勤務 | 解雇有効 | 毎日長時間働いており、本業に支障が出る可能性が高いと判断された。会社の信用も損なう行為だった。 |
| 十和田運輸事件 (東京地裁 平成13年) | 運送ドライバーが年に1、2回、同業のアルバイト | 解雇無効 | 頻度が非常に少なく、本業に支障はなかった。会社と従業員の信頼関係を壊すほどではないと判断された。 |
| 私立大学教員事件 (東京地裁 平成20年) | 大学教授が夜間や休日に無許可で語学学校講師 | 解雇無効 | 勤務時間外の活動であり、本業に支障がなく、職場にも悪影響がなかった。 |
| 東京メデカルサービス事件 (東京地裁 平成3年) | 経理部長が同業他社の代表取締役に就任し、自社と取引 | 解雇有効 | 競合する事業であり、会社の利益を著しく損なう「裏切り行為」と見なされた。 |
これらの裁判の事例からわかるように、裁判所は単に「会社のルールを破ったか」という表面的なことだけで判断していません。それよりも、「その副業が、会社の利益をどれくらい具体的に害したか」という中身を重視しています。
したがって、本業に支障がなく、競合しない事業を、勤務時間外に行っている限り、たとえ会社に無許可であっても、クビになる可能性は低いと言えるでしょう。
バレるリスクを冒してまで会社設立するメリット・デメリット
会社を設立することには、会社にバレるリスクや手間、コストといったデメリットがあります。それでも多くの人が法人化を選ぶのは、それを上回る大きなメリットがあるからです。ここでは、メリットとデメリットを比較するために、具体的な情報をお伝えします。
会社設立のメリット【節税効果は絶大】
所得の分散 配偶者や親族を会社の役員にし、仕事に見合った役員報酬を支払うことで、収入を家族で分散できます。これにより、一人に収入が集中する場合に比べて、家族全体の税金の負担を軽くする効果が期待できます。
会社設立のデメリット【コストと手間】
会社を作るには、法律で定められた費用が必要です。株式会社なら約20万〜24万円、合同会社でも約6万〜10万円かかります。さらに、たとえ会社の経営が赤字でも、法人住民税として年間最低7万円ほどの税金を支払う義務があります。
会計や税務の手続きが複雑になる
会社の会計処理は、法律で厳密な帳簿の作成が義務付けられており、決算書の作成や税金の申告には専門的な知識が必要になります。そのため、多くの場合は税理士と契約することになり、その費用も維持費となります。
関連記事:会社設立と税理士:スタートアップを成功に導く戦略的パートナー【完全ガイド】 |ほまれ税理士法人
社会保険への加入と負担が発生する
役員報酬を支払う場合、社会保険への加入が原則として義務になります。
万が一、会社設立がバレてしまった場合の正しい対処法
たとえ万全な対策を講じても、会社設立が予期せぬ形で勤務先に知られてしまう可能性はゼロではありません。もしバレてしまった場合は、焦らず誠実に対応することが、この状況を乗り切るための鍵となります。
誠実な対応が鉄則!隠さず正直に話す
もし上司や人事部から事実確認を求められたら、絶対に嘘をついたり、ごまかしたりしてはいけません。隠したり、虚偽の報告をしたりすると、会社との信頼関係が完全に壊れ、より厳しい処分を招く原因になります。
まずは事実を正直に認め、誠実に説明する姿勢を見せることが大切です。
- 設立した会社の事業内容を伝える。
- 本業に影響がないよう、勤務時間外に活動している点を強調する。
- なぜ事前に報告しなかったのか(多くの場合は、会社の規定を懸念してのことでしょう)を丁寧に説明する。
副業の許可を正式に申請する
正直に話した上で、この機会に副業の許可を正式に申請するというのも一つの方法です。事前に相談しなかったことについては心から謝罪し、その上で会社のルールに従いながら副業を続けたいと申し出ましょう。
社会全体が副業を容認する方向に進んでいる中、企業側も「本業に支障がない」ことが明確であれば、許可を検討してくれる可能性があります。事業内容や活動状況をまとめた資料を提出し、会社側の不安を解消できるよう努めましょう。
今後の身の振り方を冷静に判断する
会社との話し合いの結果、あなたはいくつかの選択を迫られることになります。
- 副業を許可してもらい、両立を続ける:最も望ましい結果です。今後は会社のルールに従い、定期的な報告をしながら両立を目指します。
- 副業が許可されず、会社を閉める:本業を続けることを選ぶなら、設立した会社を清算する手続きが必要です。
- 副業が許可されず、本業を辞める:設立した会社の事業に将来性があり、専念する覚悟があるなら、本業を辞めて独立する道を選ぶことになります。
どの選択をするかは、会社の収益性や将来性、そして本業の安定性やキャリアプランを総合的に比較し、冷静に判断することが重要です。感情的にならず、自分の人生にとって一番良い道は何かを見極めましょう。
会社設立のご相談は、「ほまれ税理士法人」へ
会社員の方が、働きながら会社を作るには、税金や法律、社会保険など、専門的な知識と、あなた個人の状況に合わせた綿密な計画が必要です。
特に、お勤め先に配慮しながら準備を進める場合、専門家でなければ気づかないような細かな注意点がいくつもあります。
私たちほまれ税理士法人は、これまでに数多くの会社設立をサポートしてきた実績があります。経験豊富な税理士が、お客様一人ひとりの状況を丁寧にお伺いします。
- 法人化による税金のシミュレーション
- 最適な役員報酬の決め方
- 社会保険の手続きやアドバイス
- 設立後の税務サポート
これら全てを、安心してお任せいただけます。
初回のご相談は無料です。「会社に知られずに設立できる?」「手続きは何から始めればいい?」など、どんな小さな不安や疑問でも構いません。
あなたが安心して新しい一歩を踏み出せるよう、私たちが一番身近なパートナーとしてサポートします。ぜひお気軽にご相談ください。

