【はじめに】顧問税理士への不満は、放置すべきでない「経営課題」です
こんにちは!税理士の井上です。
もしあなたが、今の顧問税理士に対して少しでも不満を感じているなら、この記事はきっとあなたのお役に立つはずです。
今の顧問税理士への不満は、単なる「相性が悪い」といった感情だけが原因ではありません。もし放置すれば、会社の成長を妨げ深刻な経営リスクにつながる可能性もあります。
2025年時点で、日本には81,000人を超える税理士がいます。この膨大な人数の中から、会社にとって最高のパートナーを見つけ出すことは、現代の経営者にとって最も重要な仕事の一つと言えるでしょう。
しかし、実際には「レスポンスが遅い」「節税の提案がない」「料金が分かりにくい」といった不満を抱えながら関係を続けてしまっている経営者が少なくありません。
こうした問題は、単なる意思疎通のズレだけでなく会社の現金が減ったり税務調査で不利になるなど具体的な損失にまで発展する可能性があります。
この記事は、ただ「税理士を変えましょう!」という提案ではありません。
私たち税理士法人が専門家の視点から、不満が生じる根本的な原因を分析し、その上で今の税理士との関係を改善するための具体的な方法から、後悔しないための「税理士の変え方・選び方」まで、あなたが今すぐ実践できる行動を解説します。
この記事を最後まで読めば、今のモヤモヤした気持ちがスッキリと整理され、あなたの会社にとって本当に頼れるパートナーは誰であるかを見極められるようになっているはずです。
関連記事:いい税理士はすぐわかる!見極めるポイント|失敗しない探し方・費用相場まで徹底解説 |ほまれ税理士法人
第1章:なぜ、税理士への不満はなくならないのか?
顧問税理士への不満は、単なる「相性」の問題ではありません。多くの場合、「期待値のズレ」や、税理士業界が抱える構造的な問題がその根底に隠れています。
ここではよくある5つの不満を取り上げ、なぜそのような不満が生まれてしまうのかその背景までを深掘りします。
不満1位:レスポンスが遅い・話が分かりにくい(コミュニケーションの問題)
最も多い不満が、コミュニケーションに関するものです。
【ありがちな不満】
- 質問への返事が数日返ってこない。
- 専門用語ばかりで説明が何を言っているのか分からない。
- 年に一度、確定申告の時にしか連絡がない。
- 態度が少し上から目線に感じる。
【なぜ、これが起きるのか?】
一人の税理士があまりに多くの顧客を抱えすぎている可能性があります。特に、確定申告の時期(2月〜5月)は、多くの事務所がパンク寸前の状態です。また、契約の時に「どれくらいの頻度でどんな報告をするか」を具体的に伝えていなかったという可能性もあります。
不満2位:節税や、経営のアドバイスをしてくれない
あなたが税理士に期待するのは申告書を作ることだけではなく、会社の経営や社長の人生計画に関する提案ですよね。
【ありがちな不満】
- 毎月の報告が、ただ過去の数字を読み上げるだけで終わる。
- 融資や補助金の話にあまり関心を持ってくれない。
【なぜ、これが起きるのか?】
この不満の根っこにあるのは「税理士の本来の仕事」と「あなたが期待する役割」との大きなギャップです。
法律で定められた税理士の仕事は、あくまで申告書の作成です。
一方、あなたが求める「経営を良くするためのアドバイス」は、実はオプションの付加価値サービスです。この認識がズレたまま契約してしまうと「何もしてくれない」という不満が生まれるのです。また、単純に、その税理士にあなたの業界や経営に関する知識が不足しているというケースも少なくありません。
関連記事:税理士への経営相談とは?メリットやサポート内容を解説 |ほまれ税理士法人
不満3位:料金が分かりにくい・高いと感じる
【ありがちな不満】
- そもそも、明確な料金表がない。
- 年末調整や税務調査の立会いが「別料金」だと、後から知らされた。
- 「月額〇万円」を払っているのに、サービス内容が見合っていない気がする。
【なぜ、これが起きるのか?】
料金への不満は、金額そのものよりも「何に対して、いくら払っているのかが分からない」という、納得感のなさから生まれます。
契約の時に「どこまでが基本料金で、どこからが追加料金か」を書面でハッキリさせていないことが一番の原因です。
関連記事:税理士の顧問料は月いくら?相場・料金の仕組み・費用対効果まで徹底解説 |ほまれ税理士法人
また、「安さ」だけで税理士を選ぶと「サービスの質が低い」という「安かろう悪かろう」の悪循環に陥りやすいので、注意が必要です。
不満4位:専門分野や、新しいことへの対応力がない
【ありがちな不満】
- 事業承継やM&Aといった、少し高度な相談は「専門外」と断られてしまう。
- クラウド会計を導入したいのに「うちは紙じゃないとダメ」と言われる。
【なぜ、これが起きるのか?】
税理士と一言で言っても、得意分野は人それぞれです。お医者さんに「内科」「外科」があるように、税理士にも「相続に強い人」「IT業界に詳しい人」といった専門性があります。あなたの会社のステージや業界と、税理士の専門分野がミスマッチを起こしているのです。
不満5位:仕事が雑で、ミスが多い
【ありがちな不満】
- 毎月の試算表に、単純な計算ミスや入力ミスがよくある。
- 税理士のミスで申告が遅れ、ペナルティの税金が発生した。
【なぜ、これが起きるのか?】
これらのミスは、担当者個人の能力以上に事務所全体の管理体制の問題であることがほとんどです。
作成した書類を別の人がチェックする体制(ダブルチェック)がなかったり、経験の浅い職員に仕事を丸投げしていたり…。こうした事務所は、残念ながら今も存在します。

第2章:あなたの税理士は「法律上の義務」を果たしているか?
税理士への不満について考えるとき、「何となく、相性が悪い」といった感情だけで判断するのは、少し適切ではないかもしれません。
実は税理士の仕事は、「税理士法」という法律で守るべき義務がハッキリと定められています。そしてその法律は、あなた(顧客)を守るためのルールでもあるのです。
税理士が持つ「2つの役割」は、あなたの味方であり社会の番人でもあること
税理士法という法律には「税理士とは、こういう使命を持つ仕事です」という根本的な理念が書かれています。
その内容を簡単に説明すると、税理士は2つの異なる役割を同時に達成させなければならないということです。
- あなたの「味方」としての役割
「お客様の信頼に応える」という役割です。あなたの権利と利益を守るという、ビジネスパートナーとしての役割です。
- 社会の「番人」としての役割
独立した公平な立場で世の中全体の「税の公平さ」を保つという社会的な役割です。
税理士は常にこの2つの役割を担っています。
法律で決まっている、税理士の「4つの義務」
税理士という仕事には、「税理士法」という法律でお客様を守るための具体的な義務が定められています。
これらは、あなたの税理士が「良い税理士」かどうかを客観的にチェックするための、大切な判断基準になります。
1. プロとして、当然の注意を払う義務(相当の注意義務)
単純な計算ミスや、基本的な税法の解釈間違いといった「事象」が頻繁に起こる場合。それは、専門家として当然払うべき注意を怠っている「義務違反」となります。
関連記事:『税理士が間違いだらけ』は本当か?法的責任・懲戒処分事例から学ぶ失敗しない税理士選び |ほまれ税理士法人
2. あなたの会社の秘密を守る義務(守秘義務)
税理士は、仕事を通じて知ったあなたの会社の秘密(売上や利益、顧客情報など)を、絶対に外部に漏らしてはいけない、という非常に厳しい義務を負っています。
このルールは、税理士本人だけでなく、事務所で働くスタッフ全員に適用されます。
3. 事務所を監督する義務
税理士事務所には、スタッフの教育や、チェックの体制を構築する義務があります。
4. 常に、最新の知識を学び続ける義務(研修受講義務)
税金のルールは毎年変わります。そのため、税理士は年間36時間以上、法律で定められた研修を受けることが義務付けられています。
これは、専門家としての知識を常に最新の状態に保つための、ルールです。
第3章:どう動く?今の税理士との「関係改善」か、新しい出会いを探す「変更」か
今の税理士に不満を感じたとき、すぐに「じゃあ、変えよう!」と考えるのは、少し早いかもしれません。
長年の付き合いがあるならあなたの会社の歴史や、言葉にしなくても分かる「あうんの呼吸」を、誰よりも理解してくれている、という大きなメリットもあります。
まずは関係を改善する努力をしてみて、それでもダメなら初めて「変更」を考えるのが、後悔しないための賢い選択だと言えます。
この章では、具体的な判断のポイントと行動のアドバイスをお伝えします。
今の税理士との「関係改善」を試みる、3つのステップ
不満の多くは、コミュニケーション不足や、お互いの「思い込み」から生まれます。すぐに「変更」と決める前に、まずは以下のステップで、関係改善が可能かどうかを試してみましょう。
Step 1:「してくれない」を、「してほしい」に変える
まず、心の中の不満や要望を相手に伝えることから始めます。
- 悪い例:「もっと親身になってほしい」
- 良い例:「月一度、1時間でいいので、今後の資金繰りについて相談する時間をもらえませんか?」
- 悪い例:「返事が遅い」
- 良い例:「質問のメールには、1営業日以内に一度、お返事をいただけると嬉しいです」
このように具体的な数字で要望を伝えることで、税理士も「何をすれば、あなたが満足してくれるのか」が明確になり行動しやすくなります。
Step 2:契約書を元に、「期待値」をすり合わせる
次に、その具体的な要望を、顧問契約書を一緒に見ながら、税理士と話し合ってみましょう。
「私たちがお願いしている、今の顧問料の範囲は、どこまでですか?」 「もし、経営のアドバイスもお願いする場合、追加の料金はいくらになりますか?」
関連記事:顧問料とは?料金の相場や税理士に顧問を依頼するメリットを解説 |ほまれ税理士法人
こうして冷静に話し合うことで、不満の原因が明確になることもあります。
関係改善の努力をしても、解決しない場合は、勇気を持って、変更を考えるのがお薦めです。

第4章:後悔しないための「税理士の変え方」完全手順書
税理士の変更は、企業の根幹に関わる非常に重要な事項です。感情的に進めたり手順を間違えたりすると、後々大きなトラブルになりかねません。
ここでは、円満かつスムーズに、新しいパートナーへ移行するための具体的な6つのステップを解説します。
Step 1:今の「契約書」を確認する
行動を起こす前に、まず現在の顧問契約書を隅々まで確認しましょう。特にチェックすべきは、以下の項目です。
- 解約のルール:「いつまでに伝えれば良いか(解約予告期間)」
- ペナルティの有無:「契約の途中でやめる場合、違約金はかかるか」
- 資料の返還:「預けている会計データなどを、きちんと返してくれるか」
Step 2:次の税理士を「先に」見つけておく
今の税理士に解約を伝える前に、必ず次のパートナーとなる税理士を決めておく。これが鉄則です。
相談相手が誰もいない「税理士不在期間」を作ってしまうと、その間に税務調査の連絡が来るなど、緊急時に対応できず非常に危険です。
Step 3:ベストな「変更のタイミング」を見極める
最もスムーズに変更できる、ベストなタイミングは「決算・申告が終わった直後」です。
会社の1年間の仕事が一区切りつき、新しい税理士も次の1年に向けて計画が立てやすくなります。
Step 4:解約の意思を冷静に伝える
解約を伝える際は、感情的になるのは絶対にNG。円満な資料回収のためにも、あくまでビジネスライクに、そして礼儀正しく進めましょう。
【ポイント】 電話ではなく、メールや書面で「〇月〇日付で、契約を終了します」という記録を残すのがおすすめです。
Step 5:会社の「過去の全データ」をしっかり回収する
過去のデータはしっかり回収しましょう。
税理士変更時の必須回収資料チェックリスト
| 資料名 | 回収する範囲 | なぜ重要か?(重要性) | 確認すべきポイント |
| 税務申告書・決算書の控え | 会社設立から全て(最低でも過去7年分) | 法律で7年間の保存義務あり。税務調査や融資の際に、必ず提出を求められます。 | 全ての年度分が揃っているか。決算書や内訳明細書など、全ての添付書類がセットになっているか。 |
| 総勘定元帳 | 会社設立から全て<(最低でも過去7年分) | 法律で保存が義務付けられた、全ての取引の記録です。会計の土台となる帳簿。 | 紙だけでなく、会計ソフトのデータ(CSVなど)でもらうと、次の税理士が助かります。 |
| 税務署等への各種届出書控え | 会社設立以降に提出した全ての届出書 | 会社の税金に関する立場(青色申告か、消費税を払っているか等)を証明する書類です。 | 設立届、青色申告承認申請書、給与支払事務所の開設届、源泉所得税の納期の特例の承認申請書など。 |
| 預けている証憑類 | 進行中の年度分、および過去の未返却分 | 原則7年間、保存義務あり税務調査等で提出を求められます。 | 月別にきちんと整理されているか。紛失がないか。 |
| 会計データ | 全ての期間のデータ | 次の税理士法人への引継ぎがスムーズになります。 | |
| 給与台帳・源泉徴収簿 | 全ての期間分 | 従業員がいる場合、給与計算や年末調整の元となる重要書類です。 | 従業員ごとの過去の記録が、全て揃っているか。 |
Step 6:新しい税理士へ過去資料を渡す
税理士が変わる際、前の税理士と新しい税理士が直接やり取りをして、業務を引き継ぐことは、基本的にはありません。
引継ぎは、あくまでお客様ご自身が主体となって行います。お客様が前の税理士から受け取った資料を、新しい税理士に渡す。この流れが、引継ぎそのものなのです。
だからこそ、前のステップで解説した「円満な解約」と「完全な資料回収」が、何よりも重要になるのです。
第5章:失敗しないための「最高の税理士」を見つける方法
税理士の変更は、あなたの会社をより力強く成長させてくれる「最高のパートナー」と出会うチャンスです。二度と同じ後悔をしないために、会社の未来を一緒に作ってくれる相手をどう見極めるべきか、その基準を解説します。
準備編:いい出会いは、「自分を知る」ことから始まる
良い税理士を探し始める前に、まず、あなた自身が「税理士に、何を求めているのか」をハッキリさせましょう。これが、ミスマッチを防ぐ一番の近道です。
- 現状の課題:今の税理士への不満は何か?(例:「返事が遅い」「提案がない」など)
- 未来の目標:今後3〜5年で、会社をどうしたいか?(例:「人を雇いたい」「融資を受けたい」など)
- 求めるサポート:そのために、税理士に何を期待するか?タイプA:お任せ型 → 日々の経理や申告を、丸ごとお願いしたい。タイプB:パートナー型 → 経営の相談にも乗ってほしい。タイプC:専門特化型 → 事業承継や海外取引など、特殊な分野のサポートが必須。
実践編①:契約と料金の「透明性」をチェックする
料金トラブルを防ぐには、契約前の「ルールの明確化」が大切です。
- 書面で見積書をもらう。
- 「どこまでが月額料金で、どこからが追加料金か」を、具体例(年末調整、税務調査の立会いなど)を挙げて、ハッキリと説明してもらう。
- 提示された料金に、納得できるか。(安すぎないか?高すぎないか?)
実践編②:専門家としての「実力」をチェックする
- あなたの業界に詳しいか?(同業種の顧問先の実績などを聞く)
- 税務調査の経験は豊富か?
- 弁護士や社労士など、他の専門家との繋がりはありそうか?
実踐編③:人としての「相性」をチェックする
どんなに優秀でも、「この人とは、話しにくいな…」と感じる相手では、良いパートナーにはなれません。
- 説明は、分かりやすいか?(難しい専門用語を、分かりやすい言葉に変えて話してくれるか?)
- 実際にやり取りする「担当者」は誰か?(一番重要なポイントです。面談に出てきた代表税理士ではなく、経験の浅い職員が担当になるケースも。)
- レスポンスは速いか?(最初の問い合わせメールへの返信速度も、判断材料です)
【結論】良い税理士は会社の未来を共に創る「経営パートナー」です
顧問税理士への不満は、「相性が悪い」という一言で片付けられるものではありません。その根底には、お互いの「期待値のズレ」や「契約内容の曖昧さ」といった、明確な原因が隠れています。
大切なのはその不満を感情的に捉えるのではなく、「自分の会社には、今どんなサポートが必要か?」という基準を持って冷静に判断することです。
そして、もし「変更」という決断をするなら、それは決してネガティブなことではありません。むしろ、あなたの会社が次のステージへ進むチャンスなのです。
この記事が、あなたがそんな「最高のパートナー」と出会うための良いきっかけになれば幸いです。
私たちほまれ税理士法人は、まさにお客様一人ひとりにとってのそんな「一番の味方」でありたいと、心から願っています。今の税理士への不満、これからのパートナー探し、どんなことでも構いません。あなたの話を、まずはお気軽にお聞かせください。

